燃焼ガスとは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

燃焼ガスとは

燃焼ガスとは、燃焼反応が完了した後に生成される気体の混合物のことです。別名、既燃ガスとも呼ばれます。炭化水素系燃料を燃焼させた場合、主な成分は水蒸気、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などです。これらに加え、燃焼反応に関与しなかった窒素や、不完全燃焼によって生じた生成物も含まれます。

原動機においては、燃焼ガスは回転動力を得るために利用されます。燃料を燃焼させることで発生した熱エネルギーを運動エネルギーに変換するのです。エンジン内で仕事を終えた燃焼ガスは、排気ガスとして外部に排出されます。

燃焼ガスによる影響

燃焼ガスは、その性質によってさまざまな影響を及ぼします。特に問題となるのは、腐食です。

低温腐食

低温腐食は、俗にサルファーアタックとも呼ばれ、[燃料]]に含まれる硫黄成分が原因で発生します。硫黄成分が燃焼過程で酸化し、一酸化硫黄]、亜[硫酸ガス(SO2)、無水硫酸]へと変化します。さらに、これらの物質が空気中の水分(H2O)と結合することで[硫酸]が生成されます。この[[硫酸が金属を腐食させるのです。

低温腐食は、特に燃焼ガスの温度が約130℃未満の場合に発生しやすくなります。重油などの低質油を使用する船舶機関で多く見られます。

低温腐食による影響

シリンダーライナーの腐食
ヘッドカバーの腐食
ピストンリングの腐食（腐食が進むと、高温高圧の燃焼ガスがクランクケースへ漏れ出すブローバイが発生する）
ピストンライナーの腐食
吸排気弁の腐食
その他

高温腐食

高温腐食は、[燃料]]中に含まれるバナジウム分の化学反応によって引き起こされます。燃焼過程でバナジウムは低融点の五酸化バナジウム]となり、[[鋼鉄表面に形成されている保護酸化物と反応し、融点の低い共晶化合物を生成します。これにより、保護酸化物の効果が失われ、金属の酸化が加速されます。

排気ガスによる影響

排出された[排気ガス]]は、大気汚染や温室効果ガス問題の原因となります。窒素酸化物]や[硫黄[[酸化物]などは、酸性雨の原因物質であり、人々の健康や環境に悪影響を及ぼします。また、二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主な原因物質とされています。

燃焼ガスへの対策

燃焼ガスによる腐食や環境への影響を軽減するためには、以下のような対策が考えられます。

燃料の脱硫: 燃料中の硫黄分を事前に除去することで、低温腐食の原因となる硫酸の生成を抑制できます。水素化脱硫装置などが用いられます。
燃焼温度の管理: 燃焼温度を適切に管理することで、低温腐食の発生を抑制できます。また、高温腐食の進行を遅らせることができます。
耐食性材料の使用: 燃焼ガスに接触する部品に、耐食性の高い材料を使用することで、腐食による損傷を抑制できます。
排気ガスの浄化: 排気ガスに含まれる有害物質を浄化する装置を設置することで、大気汚染を軽減できます。

まとめ

燃焼ガスは、私たちの生活を支えるエネルギー源である一方で、腐食や環境汚染を引き起こす可能性も秘めています。燃焼ガスの性質を理解し、適切な対策を講じることで、安全で持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。

燃焼ガス