片倉氏

片倉氏：伊達政宗に仕えた名門の興亡と明治への継承

片倉氏は、戦国時代から明治時代にかけて活躍した名門武士の家系です。信濃国伊那郡片倉村を起源とし、奥州へと移り住み、伊達氏に仕えるようになりました。その歴史は、伊達政宗の重臣として活躍した片倉景綱（小十郎）から始まります。

伊達政宗と片倉景綱：戦国時代の影の立役者

片倉景綱は、伊達政宗の側近として、その軍事戦略に深く関与しました。政宗の右腕として活躍したとされ、伊達成実と共に、数々の合戦で重要な役割を果たしたと伝えられています。景綱の卓越した能力と政宗への忠誠は、片倉氏の隆盛の礎となりました。

仙台藩における片倉氏：白石城主としての地位と役割

江戸時代には、仙台藩において1万3000石（幕末には1万7200石）を領する大名となり、一国一城令の例外措置として残された白石城主に任じられました。藩内では高い家格「一家格」に位置づけられ、奉行職などの要職を歴任しました。また、片倉家は、家督を継承する際に「小十郎」の名を世襲しました。さらに、婚姻関係を通じて伊達家と深いつながりを持ち、伊達家の繁栄にも大きく貢献しました。

明治維新と北海道開拓：新たな挑戦

幕末の動乱期、仙台藩が戊辰戦争で官軍に敗れた後、片倉家は知行を没収されました。しかし、当主片倉景範とその子景光は、北海道開拓という新たな道を選びました。旧臣を率いて札幌近郊に「白石村」を開拓し、北海道の開発に貢献しました。この開拓事業は、片倉家の新たな歴史を刻むこととなります。

男爵への叙爵：功績と叙爵運動

明治時代、華族への叙爵が検討される中で、片倉家は男爵位を授かるべき有力候補とみなされました。しかし、当初は叙爵の対象とはなりませんでした。その後、片倉景光は叙爵運動を展開し、北海道開拓への貢献や、維新時に仙台藩主への進言など、先祖の功績を訴えました。そして、明治31年（1898年）、ついに男爵位を授かりました。この叙爵は、片倉氏の長い歴史と功績を改めて証明するものとなりました。

片倉家のその後

昭和前期には、片倉家の邸宅は宮城県刈田郡白石町にありました。片倉家は、その後も地域社会に貢献し続け、その歴史と伝統は現在も受け継がれています。

系譜

片倉氏の系譜は長く、数多くの優れた人物を輩出しました。以下に歴代当主を挙げます。

片倉景綱
片倉重長
片倉景長
片倉村長
片倉村休
片倉村信
片倉村定
片倉村廉
片倉村典
片倉景貞
片倉宗景
片倉邦憲
片倉景範
片倉景光
片倉健吉
片倉信光
片倉重信

参考文献

太田亮「国立国会図書館デジタルコレクション 片倉　カタクラ」『姓氏家系大辞典』 第1
「武家家伝＿片倉氏」風雲戦国史-戦国武将の家紋-
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
華族大鑑刊行会『華族大鑑』
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』

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