片倉景光

片倉景光：北海道開拓と信仰の軌跡

片倉景光は、1859年（安政6年）、仙台藩家老を務めた名家・白石片倉家の第14代当主として、陸奥国刈田郡白石城で誕生しました。父は13代当主の片倉景範です。

景光は幼少期を白石で過ごした後、1870年（明治3年）、11歳の時に家族と共に北海道胆振国幌別郡へと移住しました。この移住は、明治政府による北海道開発の波に乗り、新たな開拓地での生活を始めることを意味しました。

北海道での生活は、景光にとって大きな転換期となりました。彼は開拓に尽力し、その功績は後に高く評価されることになります。1880年（明治13年）、21歳の時に片倉家の家督を相続。同年、会津藩の洋医師赤城信一の長女であるタケ（竹子）と結婚しました。タケは聖公会信徒であったとされ、景光自身の信仰生活にも影響を与えた可能性があります。

景光の信仰は、1886年（明治19年）に押川方義から洗礼を受けることで、日本基督一致教会の信徒として確固たるものとなりました。キリスト教信仰は、景光の生き方や北海道での開拓活動に、大きな支えとなったと考えられます。

景光の北海道での開拓事業は高く評価され、1898年（明治31年）、旧家臣らの嘆願もあり、その功績が認められて華族に列せられ、男爵位を授与されました。これは、北海道開発に貢献した人物への政府からの大きな称賛と言えるでしょう。

晩年、景光は長年の地である北海道幌別村から、宮城県白石町へと帰郷しました。そして1911年（明治44年）、52歳でその生涯を閉じました。

片倉景光は、名家の後継者として生まれたものの、北海道という新たな地で開拓者としての人生を選び、キリスト教の信仰を貫きました。その生涯は、時代の変遷の中で、伝統と革新、そして信仰をどのように両立させていくかを示す、貴重な一例と言えるでしょう。彼の開拓への尽力と深い信仰は、今もなお人々の記憶に刻まれています。

家族関係について

景光の妻であるタケ（竹子）との結婚は、彼の北海道での生活や信仰生活に大きく影響を与えたと考えられます。また、娘婿には青葉神社宮司を務めた人物がいたことも、景光の出自や社会的地位を示す上で重要な要素です。

参考文献

日本聖公会歴史編集委員会編『あかしびとたち―日本聖公会人物史』日本聖公会出版事業部、1974年
福島恒雄『北海道キリスト教史』日本基督教団出版局、1982年

関連事項

* 登別市郷土資料館

もう一度検索