片倉館

片倉館：歴史と文化が息づく温泉施設

長野県諏訪市上諏訪[[温泉]]に位置する片倉館は、単なる温泉施設を超えた、歴史と文化が息づく特別な場所です。国の重要文化財に指定されている浴場、会館、渡廊下の3棟は、昭和初期の洋風建築の傑作として高く評価されています。

建物の歴史と背景

片倉館は、片倉製糸紡績株式会社社長であった二代片倉兼太郎氏によって、昭和3年（1928年）に建てられました。創業50周年と昭和天皇の御大典を記念し、製糸工場で働く女性従業員の福利厚生向上、そして地域住民への貢献を目的として建設されました。兼太郎氏は欧米視察で見た先進的な文化福祉施設に感銘を受け、この温泉施設の構想を練ったと言われています。

80万円の基金によって設立された「財団法人片倉館」は、片倉財閥関係者だけでなく、一般市民にも開放されました。この施設は、単なる温泉施設ではなく、地域社会に貢献する文化交流拠点としての役割も担っていました。

建築様式と特徴

片倉館の建築様式は、ゴシックリバイバルやロマンティックリバイバルの影響が見られる独特のものです。森山松之助氏による設計で、浴場棟は鉄筋コンクリート造、会館棟は木造一部鉄筋コンクリート造という構成となっています。スクラッチタイル貼りの外壁、切妻造や半切妻造のスレート葺き屋根など、細部までこだわった造りとなっています。

特に、浴場棟の玄関脇にそびえる平面八角形の塔屋は、建物の象徴的な存在です。会館棟には、204畳敷きの舞台付き大広間があり、かつては様々なイベントや集会に使用されていました。現在も、その広々とした空間は、多様な用途に対応できる魅力となっています。

温泉と施設

片倉館の最大の魅力はなんといっても温泉です。その象徴的な存在である「千人風呂」は、幅4m、長さ7.5m、深さ1.1mの大きな浴槽で、底には玉砂利が敷かれています。この玉砂利は、足裏への程よい刺激を与え、歩行することでさらに強い刺激を感じることができます。浴槽の縁には2段の段差があり、深さによって入浴の仕方を調整できます。

大浴場の他に、ジャグジー浴室、休憩室、食堂、大小様々な広間、そして貸し切り個室も完備されています。ジャグジー浴室は、大浴場とは壁で仕切られており、湯気が循環することで高い室温を保っています。

アクセスと営業時間

片倉館へのアクセスは、JR東日本中央本線の上諏訪駅から徒歩約5分、または中央自動車道諏訪ICから約7kmです。

開館時間は10時～20時（受付は19時30分まで）、休館日は毎月第2・第4火曜日（祝日の場合は開館、翌日休館）です。入浴料金は大人750円、子供450円です。

まとめ

片倉館は、歴史、建築、温泉、そして地域社会との繋がりを肌で感じることができる特別な場所です。独特の建築美と癒やしの温泉、そして充実した施設は、訪れる人々に忘れられない思い出を残してくれるでしょう。諏訪湖畔の美しい景観も相まって、心身ともにリラックスできる、極上のひとときを過ごすことができます。

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