上諏訪温泉

上諏訪温泉：歴史と文化が息づく温泉郷

上諏訪温泉は、長野県諏訪市に位置する、歴史と文化が深く根付いた温泉地です。古くから諏訪大社の門前町として栄え、江戸時代には高島藩の城下町、甲州街道の宿場町としても賑わいをみせていました。

歴史を彩る温泉

温泉の起源は古く、かつては温泉寺が建立され、薬師如来が祀られていました。温泉を守るため、人々の信仰を集めていたことがうかがえます。江戸時代初期には温泉地として知られ、多くの旅籠が営業していましたが、当時は内湯がなく、住民や旅人は共同浴場を利用していました。

「御枕屏風」（1664年）の絵図には、庶民向けの平湯や、塀と門を持つ武家用の湯屋敷が描かれており、当時の温泉利用の様子が伺えます。1817年の温泉番付では「東の小結」にランクインするなど、その名声は広く知れ渡っていました。

明治時代に入ると、地租改正条例施行に伴い、共同温泉地は官有地となり、一部は払い下げを受け、住民による運営が続けられました。製糸業の発展とともに上諏訪は繁栄し、内湯を持つ旅籠も増加。1905年の中央本線開通を契機に、観光地としての発展が加速し、多くの温泉旅館や飲食店が誕生しました。1928年には、国の重要文化財に指定されている片倉館が開業。1937年には旅館数は57軒に達するなど、温泉街は大きく発展しました。1960年頃には源泉数は500を超えていましたが、1958年には自噴泉が枯渇し、現在では動力揚湯となっています。

多様な泉質と効能

上諏訪温泉の泉質は、単純温泉と単純硫黄泉で、無色透明です。源泉温度は65℃ですが、七ツ釜温泉では80℃に達します。効能は、外傷性諸障害、慢性湿疹、成人病、婦人病、腰痛、神経痛など幅広く、多くの人々の健康増進に役立っています。ただし、効能には個人差があることをご理解ください。

温泉街の魅力

諏訪湖東岸に広がる上諏訪温泉街は、片倉館の千人風呂が有名です。片倉館は日本最古の温泉複合保養施設として知られ、その歴史的価値は高く評価されています。諏訪湖畔には遊歩道が整備され、大型ホテルや無料で利用できる足湯、美術館などが点在し、散策にも最適です。

日帰り入浴施設は限られていますが、多くのホテルが日帰り入浴を受け入れています。JR上諏訪駅構内には足湯が設置され、電車を利用した観光客にも便利な施設となっています。かつては諏訪湖間欠泉センターがありましたが、現在は停止しており、今後の活用方法が検討されています。

高島城三の丸にあった諏訪藩主専用の温泉は、大正時代より共同浴場として利用され、その後高島公園脇に移転しました。現在は跡地に記念碑とつくばいが設置され、少量の温泉が流れ、湯煙が立ち上っています。

温泉の恵み

上諏訪温泉は豊富な湧出量を誇り、市内の一般家庭にも温泉が供給されています。さらに、温泉施設のある小学校や百貨店、高速道路のサービスエリアなど、様々な場所で温泉が利用されています。2001年には諏訪湖畔に足湯施設が設置され、観光客に好評です。

アクセス

上諏訪温泉へのアクセスは、中央本線の上諏訪駅下車、または中央自動車道諏訪ICから国道20号経由が便利です。近年でも、宿泊客の14～16％が電車を利用して訪れています。

周辺の観光スポット

上諏訪温泉周辺には、諏訪市美術館、サンリツ服部[[美術館]]、北澤美術館、諏訪市原田泰治美術館、SUWAガラスの里の[[美術館]]など、多くの美術館があり、文化に触れる機会も豊富です。

上諏訪温泉は、歴史、文化、そして自然豊かな環境が調和した魅力的な温泉地です。多くの人々にとって、心身ともに癒される場所として、これからも愛され続けるでしょう。

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