片岡亀蔵 (4代目)

四代目 片岡亀蔵：歌舞伎界を彩る個性派名優

四代目片岡亀蔵は、1961年生まれの歌舞伎役者です。屋号は松島屋、定紋は銀杏丸。五代目片岡市蔵を父に、六代目片岡市蔵を兄に持ち、歌舞伎一家に生まれた彼は、幼い頃から歌舞伎の世界に深く関わってきました。

端正な顔立ちと、劇場全体に響き渡るような力強い声が特徴です。錦絵から飛び出してきたかのような彼の容貌は、多くの観客を魅了しています。その演技は時代劇の敵役で特に異彩を放ち、独特の雰囲気と存在感で観る者を圧倒します。一方で、世話物では江戸っ子らしい軽妙な動きで観客を笑わせ、新作歌舞伎においても、彼の持ち前のコメディーセンスと演技力は大きな魅力となっています。

彼の芸の幅広さは、師匠である二代目尾上松緑と初代尾上辰之助からの薫陶によるところが大きいと言えます。両師匠から受け継いだ技芸と、持ち前の才能を融合させた彼の演技は、まさに唯一無二の存在感を放っています。兄である六代目片岡市蔵と共に、歌舞伎界の脇役陣の中心的存在として活躍し、数々の舞台を支えています。

経歴と受賞歴

1965年、歌舞伎座での『忠臣蔵』で初舞台を踏んだ片岡亀蔵は、1969年には四代目片岡亀蔵を襲名。その後、1995年に名題に昇進しました。その間、数々の賞を受賞しており、国立劇場奨励賞、歌舞伎座賞、眞山青果賞助演賞、国立劇場優秀賞など、彼の演技が高く評価されていることがわかります。2001年には重要無形文化財総合認定を受け、伝統歌舞伎保存会会員となりました。

代表的な演目には、『菅原伝授手習鑑』の寺子屋の春藤玄蕃、『紅葉狩』の腰元岩橋、『眠駱駝物語』の駱駝の馬太郎、『野田版 研辰の討たれ』のからくり人形、『大江戸りびんぐでっど』の与兵衛などがあります。時代劇、世話物、新作歌舞伎と、その演じる役柄の幅広さは、彼の高い演技力を物語っています。

知られざる一面

舞台上での活躍とは対照的に、彼は歌舞伎界きってのゾンビ映画好きとしても知られています。学生時代にジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』を見て以来、ゾンビ映画に魅了されたそうです。『ウチくる!?』という番組に出演した際には、共演者である六代目中村勘九郎と六代目中村児太郎をゾンビ映画鑑賞に誘ったエピソードを披露し、勘九郎は感銘を受けたものの、児太郎は怖がったという面白い話を語っています。

人物像

公称身長174cm、体重70kg（2006～2015年当時）、血液型はO型。舞踊音曲は常磐津紫弘を師匠に持ちます。好きな食べ物はナイルのムルギランチ、好きな色は赤、そして宝物として挙げているのは、学生時代の友人たちです。趣味は映画やDVD鑑賞、美術館巡り。今一番欲しいものは「時間」だそうです。好きな映画は『ゴッドファーザー』と『ゾンビ』と語っています。

参考文献

片岡亀蔵に関する情報は、数多くの文献に掲載されています。『かぶき手帖』（歌舞伎の公式データブック）、『歌舞伎俳優名跡便覧』、『歌舞伎俳優大百科』、『月刊誌演劇界』の臨時増刊号や特別付録、公演パンフレットなど、様々な資料から彼の活動や人物像を詳細に知ることができます。これらの資料は、彼の経歴や受賞歴、演じた役柄、そして彼の人となりを知る上で貴重な情報源となります。これらの文献を参考に、この記事は作成されました。

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