片岡仁左衛門 (13代目)

十三代目片岡仁左衛門の生涯と業績

十三代目片岡仁左衛門（かたおか にざえもん）は、1903年12月15日に東京で生まれ、1994年3月26日に逝去した、日本の歌舞伎界の巨星です。彼の本名は片岡千代之助で、屋号は松嶋屋、定紋は七ツ割丸に二引です。重要無形文化財保持者（人間国宝）であり、日本芸術院の会員でもありました。歌舞伎界における彼の立役としての貢献は特筆に値します。

若き日の経歴

仁左衛門は幼少期から歌舞伎に関わり、1905年に京都南座で初舞台を踏む際には本名の千代之助を名乗りました。その後、1912年からは片岡少年劇で活躍し、1924年には四代目片岡我當を襲名しました。彼は当時、九代目團十郎の芸を学び、やがて東京の歌舞伎界で存在感を示していきました。

関西歌舞伎での活動

仁左衛門は1939年に関西歌舞伎に移籍し、1951年には父の名跡を受け継ぎ片岡仁左衛門を名乗ります。しかし、1960年代に入ると関西歌舞伎は衰退の傾向を見せ、仁左衛門は不遇の時代を迎えました。それでも彼は「仁左衛門歌舞伎」という自主公演を始め、関西歌舞伎の伝統を守る活動に力を入れました。これに伴い若手俳優の育成にも尽力し、次世代への道を開く役割を果たしました。

晩年の活躍

1966年、仁左衛門は『廓文章』の伊左衛門役で評価を得て、その演技は七十代から八十代にかけて飛躍的に深化しました。1972年には重要無形文化財保持者の認定を受け、日本芸術院賞も受賞しました。特に1981年の国立劇場『菅原伝授手習鑑』では、彼の演技が「神品」と称されるほどの絶賛を受けました。しかし、視力の衰えが進み、晩年は完全に失明してしまいました。それでも彼は舞台への情熱を失うことなく、最後まで活躍し続けました。

人柄と教え

仁左衛門の性格は温厚で、格調高く、屈折していない性質でした。多くの優れた弟子を育て、彼が教えた歌舞伎の型や技術は貴重な資産として今も語り継がれています。彼の教え方は自由で、様々な演技の型を示した後で、弟子たちに自分で選択するように促していました。妻は講釈師の娘で、義兄には二代目花柳壽楽がいます。

鉄道愛好家としての一面

また、仁左衛門は古典芸能の世界でも鉄道愛好家として知られ、多くの文化イベントやセレモニーにも顔を見せました。新幹線の開業時には取材を受けるなど、ひときわ関心を寄せていましたが、旅に風情が欠けたことに対する批判も口にしていました。

著作と功績

仁左衛門は文才もあり、著書を多数残しました。文学的な業績と豊富な歌舞伎に関する資料は、次世代の文化や芸術にとって重要な遺産です。彼の当たり役は多岐にわたり、『菅原伝授手習鑑』や『仮名手本忠臣蔵』などが有名です。

受賞歴

彼の功績は、1964年の大阪芸術賞から始まり、1980年の勲三等瑞宝章、1981年のNHK放送文化賞など、数多くの賞を受賞しました。

最期と遺産

1994年、仁左衛門は老衰により92歳で逝去しました。彼が歌舞伎界にもたらした影響は計り知れず、今も多くの人々から愛されています。彼のすべての業績は、後世の舞台芸術に深い足跡を残すことでしょう。

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