片岡松燕プロダクション

片岡松燕プロダクションとは

片岡松燕プロダクションは、1926年に設立され、同年に解散した日本の映画会社です。設立者は、日活大将軍撮影所から独立した女形・美形男優として知られた片岡松燕です。片岡松燕は、日活時代に70本以上の映画に出演していましたが、自身の映画製作を志し、独立しました。

設立の背景

片岡松燕は、1926年6月1日に公開されたサイレント映画『武士なればこそ』を最後に日活を退社しました。その後、実業家である梅屋庄吉の支援を受け、梅屋が所有していた「百人町撮影所」を「片岡松燕プロダクション」として稼働させました。梅屋は、かつてM・パテー商会を経営し、後に日活に統合されるも、M・カシー商会を経営するなど、映画業界に深く関わっていました。片岡松燕は、31歳という若さで自身のプロダクションを設立し、主演映画の製作に乗り出しました。

作品の特徴

片岡松燕プロダクションの設立第1作は、片岡松燕が女形として主演した『大望』です。同年には、大正三美人として知られる歌人、華族の柳原白蓮が脚本を執筆した『紫電白光』も製作されました。片岡松燕は、1927年までに計8本のサイレント映画に主演し、女形としても男優としてもその才能を発揮しました。

1927年には、松竹蒲田撮影所を退社した俳優の森野五郎と提携し、『恋の四千両』を共同製作しました。この作品は、森野と片岡松燕がダブル主演を務めた異色の作品です。しかし、この作品を最後に、森野は河合プロダクションに入社し、片岡松燕は舞台に戻りました。

フィルモグラフィー

1926年
大望
監督：高浜順
原作：前田曙山
脚本：松岡映二路
撮影：久我範浪
考証：森田留次郎
主演：片岡松燕
出演：岩花日出子、朝妻松子、市川左近、中村竹之助、西川芳堂、藤村林之助、中野一平、美町てるほ、市川左延
紫電白光
監督：森田留次郎
原作・脚本：柳原白蓮
撮影：男沢粛
主演：片岡松燕
共演：岩花日出子
美男村正
監督：森田華明
原作：柳小路勇
脚本：秦哀美
主演：片岡松燕
共演：秋岡美代子
1927年
乱星
監督：森田翠明
原作：松岡映二路
脚本：村岸弘章
撮影：本田昌
主演：片岡松燕
出演：熊田弘、牧愛子
狂恋魔刃
監督：横田豊秋
原作・脚本：村井潤
撮影：本田昌
主演：片岡松燕
共演：吉村蘭子
姉妃のお百
監督：森田華明
原作：加藤松峰
脚本：上村春霞
主演：片岡松燕
出演：熊田弘、城山憲、中野信近、吉村蘭子、岩花日出子、中村竹之助、伊藤一郎、関三之助、片岡燕郎、片岡菊之助
雄叫びの巷
監督：森田華明
原作・脚本：上村重雄
撮影：本田昌
主演：片岡松燕
共演：若草麗子
恋の四千両
監督：横田豊秋
原作：内山藤十郎
脚本：松岡映二路
撮影：田昌
主演：森野五郎、片岡松燕
出演：若月孔雀
備考：森野五郎プロダクションとの共同製作

まとめ

片岡松燕プロダクションは、短期間ながらも、片岡松燕の個性を活かした作品を製作しました。特に、柳原白蓮が脚本を手掛けた『紫電白光』は、当時の映画界に新しい風を吹き込んだ作品として知られています。片岡松燕プロダクションの作品は、現在では入手困難なものが多いですが、日本の映画史における重要な一ページを飾る存在として、その名が語り継がれています。

外部リンク

片岡松燕 - 日本映画データベース
* Shoen Kataoka - IMDb（英語）

もう一度検索