牛車腎気丸

牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）について

牛車腎気丸は、漢方薬の一種で、八味地黄丸という処方に、牛膝（ゴシツ）と車前子（シャゼンシ）という2つの生薬を加えたものです。主に、漢方医学でいう「腎虚（じんきょ）」の状態に対して用いられます。

歴史と出典

牛車腎気丸の出典は、中国の医学書である『厳氏済生方（げんしさいせいほう）』に遡ります。古くから用いられてきた漢方処方の一つです。

効果・効能

牛車腎気丸は、特に痺れを伴う糖尿病性神経障害の症状に有効であることが知られています。研究では、メコバラミン（ビタミンB12の一種）との比較試験において、痺れの改善効果がメコバラミンよりも有意に高いことが示されています。

当初、その作用メカニズムは明確ではありませんでしたが、後の研究によって、牛車腎気丸にはアルドース還元酵素阻害作用があることが判明しました。これにより、神経障害の改善に繋がることが示唆されています。

さらに、牛車腎気丸には、皮膚温を上昇させたり、血流を改善する作用、血中の過酸化脂質を低下させる作用があることも報告されています。これらの作用から、骨粗鬆症の治療にも有効である可能性が示唆されています。

また、近年では、西洋医学的な観点からも、牛車腎気丸の薬理作用に関する研究が進められており、その効果のメカニズムがより深く解明されつつあります。

臨床では、人工透析を受けている患者さんの足の裏の違和感に対して用いられることもあります。

構成生薬

牛車腎気丸は、以下の10種類の生薬から構成されています。

地黄（ジオウ）: アカヤジオウの根
牛膝（ゴシツ）: ヒナタイノコヅチの根
山茱萸（サンシュユ）: サンシュユの果肉
山薬（サンヤク）: ヤマノイモまたはナガイモの根茎
車前子（シャゼンシ）: オオバコの成熟種子
沢瀉（タクシャ）: サジオモダカの根塊
茯苓（ブクリョウ）: マツホドの菌核
牡丹皮（ボタンピ）: ボタンの根皮
桂皮（ケイヒ）: シナモン
附子（ブシ）: トリカブト属の子根

これらの生薬が組み合わさることで、相乗的な効果を発揮すると考えられています。

主な製薬会社

牛車腎気丸は、複数の製薬会社から販売されています。

ツムラ
クラシエ
小太郎漢方製薬
イスクラ産業株式会社
* 一元製薬

各社によって、製品の剤型や配合量が異なる場合があります。医師や薬剤師に相談の上、適切な製品を選ぶようにしましょう。

注意点

牛車腎気丸は、漢方薬であるため、副作用のリスクは比較的少ないとされていますが、体質や症状によっては、消化器症状などの副作用が現れることがあります。服用中に体調の変化を感じた場合は、医師や薬剤師に相談してください。

また、他の薬との飲み合わせに注意が必要な場合もありますので、現在服用している薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えてください。

この情報は、一般的な知識を提供するものであり、個別の医療アドバイスを意図したものではありません。ご自身の症状や体質に合わせて、医師や薬剤師の指示に従って服用してください。

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