牛頭法融

牛頭法融（ごず ほうゆう）は、隋から唐にかけて生きた中国の禅僧であり、牛頭宗の開祖として知られています。俗姓は韋（い）とされ、開皇14年（594年）に潤州延陵県（現在の江蘇省鎮江市丹陽市延陵鎮）で生まれ、顕慶2年（657年）に64歳で入滅しました。41年の法臘（僧侶としての年数）でした。

19歳で出家し、茅山豊楽寺にて大明法師に師事しました。大明法師は三論宗の興皇法朗の弟子であり、法融は彼のもとで三論宗を学びました。その後、禅宗へと傾倒し、武徳7年（624年）に仏窟寺に移り、さらに幽棲寺に禅室を建てて隠棲生活を送りました。この間、法融は自己の内面を深く探求し、独自の禅の境地を切り開いていったと考えられます。

永徽3年（652年）には、建初寺の住持に迎えられました。これは、法融の卓越した禅の指導力と人徳が広く認められた結果と言えるでしょう。建初寺では、多くの弟子を育成し、牛頭宗の教えを広めました。

法融は、その生涯において数多くの著作を残しました。主なものとして、『注金剛般若経』一巻、『金剛般若経意』一巻、『維摩経記』二巻、『維摩経要略疏』一巻、『華厳経私記』二巻、『法華名相』一巻などが挙げられます。これらの著作は、法融の深い仏教理解と禅の思想を امروز伝える貴重な資料となっています。

牛頭法融の思想は、従来の禅の教えにとらわれず、自己の内なる仏性を見出すことを重視するものでした。その教えは、後の禅宗に大きな影響を与え、特に南宗禅の発展に寄与したと評価されています。

参考文献：
馮学成 (2013). “大道透長安：禅宗燈録詩偈選析” (中国語). 『明月蔵鷺』. 広州市: 南方日報出版社. p. 9. ISBN 978-7-5491-0793-3
恵運『八家請来目録』
円珍『智証大師請来目録』
興福寺・永超『東域伝灯目録』（1094年）

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