牛頭宗

牛頭宗（ごずしゅう）とは

牛頭宗は、中国の唐代に形成された禅宗の一派です。その起源は、五祖弘忍門下の法持（635年 - 702年）が江寧（現在の江蘇省南京市）の牛頭山を拠点としたことに始まります。法持から牛頭智威（646年 - 722年）、牛頭慧忠（683年 - 769年）、仏窟惟則（751年 - 830年）へと続く法系と、牛頭智威から鶴林玄素（668年 - 752年）、径山法欽（714年 - 792年）へと続く法系が、初期の牛頭宗を形成しました。

北宗・南宗との対立

牛頭慧忠と鶴林玄素の時代には、同じく禅宗の宗派である北宗や南宗（荷沢宗）が隆盛を極めていました。特に洛陽では、これらの宗派が大きな勢力を持っており、牛頭宗はこれに対抗するべく、自らの正統性を主張する必要がありました。

法系の改変

そこで牛頭宗は、従来の法系を改変し、四祖道信の系譜に連なるものとしました。具体的には、牛頭法融（594年 - 657年）を初祖とし、智巌（577年 - 654年）、慧方（629年 - 695年）、法持へと続く法系を加え、さらに智威を第五祖、慧忠を第六祖と位置づけました。この改変は、南北二宗が五祖弘忍門下の六祖を誰とするかで対立していた状況を背景に、自らの宗派がより上位にあることを示すための戦略でした。特に、牛頭慧忠を六祖としたことは、南北二宗の対立を利用し、その優位性を主張する意図があったと考えられます。

教義と論書

牛頭宗の教義は、敦煌写本として残る『絶観論』や『無心論』にまとめられています。これらの論書は、牛頭宗の思想を理解する上で重要な資料です。

その後の牛頭宗

牛頭宗は、最澄によって日本に伝えられ、日本天台宗に影響を与えたとされます。また、その思想は後の禅宗にも影響を与えました。

関連項目

最澄

関係論文

CiNii > 牛頭宗

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