牧圭次

牧圭次（まき けいじ）

1919年11月25日、宮城県に生まれた牧圭次氏は、日本の裁判官として、その生涯を司法の発展に尽くしました。2012年2月26日にその生涯を閉じるまで、最高裁判所判事としての重責を担いました。

生い立ちと裁判官への道

1941年（昭和16年）に東京帝国大学法学部を卒業した牧氏は、翌1942年（昭和17年）1月に司法官試補となります。しかし、間もなく現役兵として入隊し、戦後の復員を経て、裁判官としての道を歩み始めました。

裁判官としてのキャリア

東京地方裁判所や函館地方裁判所などでの裁判官としての経験を積んだ後、最高裁人事局勤務、刑事局長、千葉地方裁判所所長、東京高等裁判所判事、最高裁事務総長といった要職を歴任しました。

東大安田講堂事件での法廷指揮

東京地裁時代には、東大安田講堂事件を担当。1969年（昭和44年）6月、騒ぐ被告たちを機動隊を導入して排除し、9人を監置処分とするなど、果敢な法廷指揮を見せました。弁護側との間で統一公判を巡り激しい議論を交わし、弁護団や被告への退廷命令、弁護士への監置処分など、その毅然とした態度は注目を集めました。また、1971年（昭和46年）には、飯田橋事件の判決公判で、プラカードを「用法上の凶器」と初めて認定するという、画期的な判断を示しました。

最高裁事務総長として

1977年（昭和52年）11月には、最高裁事務総長に就任。岡原昌男最高裁長官が「弁護人抜き裁判法案は必要」と発言した際には、国会に呼ばれ、「（最高裁長官の発言は）司法行政を総括する者として当然のこと」と答弁し、司法行政を支えました。

その後のキャリア

その後、福岡高裁長官として安川輝夫事件を処理。さらに名古屋高等裁判所長官を経て、1982年（昭和57年）5月28日に最高裁判所判事に就任しました。この牧氏の任命により、最高裁裁判官15人が全員大正生まれとなりました。

1989年（平成元年）11月に定年退官するまで、裁判官としてその職責を全うしました。

参考文献

野村二郎『最高裁全裁判官：人と判決』三省堂、1986年。ISBN 9784385320403。
野村二郎『日本の裁判史を読む事典』自由国民社、2004年。ISBN 9784426221126。

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