東大安田講堂事件

東大安田講堂事件

東大安田講堂事件（とうだいやすだこうどうじけん）は、1969年に東京大学本郷キャンパスの安田講堂が学生によって占拠され、それに対抗する形で警視庁が機動隊を派遣し、封鎖解除を試みた歴史的な出来事です。この事件は、日本の大学紛争の中でも特に注目されるものであり、全共闘と新左翼の学生たちによる運動が背景にありました。

事件の背景

1960年代後半、日本は激しい社会変動の中にありました。特に、ベトナム戦争の激化と日米安全保障条約の延長を巡る議論は、左派学生の間で反戦運動や抗議行動を引き起こしました。また、高度経済成長の中で大学は権威主義的な運営がなされており、これに対して学生たちは授業料の値上げ反対や学園の民主化を求めて運動を展開しました。このような情勢の中で、全学共闘会議（全共闘）が各大学で結成され、学生主体の抗議行動が活発化しました。

事件の発生までの道のり

東京大学では、医学部の学生が登録医制度に反対する「インターン闘争」を行い、その結果、大学側が学生を処分することで緊張が高まりました。1968年3月には医局の占拠、そして安田講堂の占拠へと繋がりました。特に安田講堂が占拠されたことが、全共闘運動の象徴となりました。学生たちは大学当局と交渉を試みましたが、その反応が芳しくないことから、バリケード封鎖が行われ、多くの大学で社会問題に発展しました。

封鎖解除の経緯

事件は1969年1月18日から19日にかけて起きました。警視庁は8500人もの機動隊を動員し、安田講堂の封鎖解除に乗り出したのです。初日は序盤から学生の激しい抵抗に遭い、投石や火炎瓶の使用が確認されるなど、現場は混乱を極めました。また、機動隊は怪我をしないように配慮しながら進行しましたが、学生たちの抵抗も強力で、完全には解放されませんでした。

続く19日も、機動隊は再度攻撃を行い、最終的には90人以上の学生を検挙し、ようやく安田講堂の封鎖が解除されました。この過程では、機動隊側にも多数の負傷者が出ました。

イベント後の影響

この事件によって、東京大学の入学試験は1969年に中止とされ、入学者数はゼロとなりました。また、事件を契機として全国の大学でのバリケードストライキが広がっていくきかっけともなり、さらに多くの学生運動が展開されることとなります。

事件を描いた作品

この事件を取り上げた作品も多く、テレビドラマやドキュメンタリーとして扱われてきました。例えば、テレビ朝日の『東大安田講堂攻防戦』や、NHKの『安田講堂落城～“あの日”から40年　学生たちのその後～』などがあります。

まとめ

東大安田講堂事件は、日本の大学教育や政治運動に大きな影響を与え、今なお多くの人々に記憶され続けています。この事件を通して、学生たちが自らの声を上げる姿勢や、権力との闘いの重要性を再確認することができます。

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