牧尾ダム

牧尾ダムについて

概要

牧尾ダムは、木曽川の支流である王滝川に位置し、独立行政法人水資源機構によって管理されています。このダムは、主にかんがい用水や水道用水、工業用水の供給と発電を目的として設計されています。一方で洪水調節機能は持たないため、特に水の供給が求められる地域にとって非常に重要な役割を果たしています。

工事は1957年に始まり、1961年に完成しました。ダムの形式は中央土質遮水壁型ロックフィルダムであり、堤高は104.5メートル、堤頂長は260メートル、堤体積は261万6,000立方メートルという規模を誇ります。このダムは愛知用水の水源として、特に尾張丘陵や知多半島地域への安定した水供給を実現し、中京圏における経済活動を支える基盤となっています。

発電と周辺環境

牧尾ダムは、関西電力の三尾発電所において発電にも寄与しています。この発電所は牧尾ダムを上池、木曽ダムを下池として揚水発電を行っており、地域の電力供給にも貢献しています。さらに、ダム湖は御嶽山にちなんで「御岳湖」と呼ばれ、多くの観光客が訪れるスポットともなっています。

周囲には温泉やスキー場も点在し、観光業にとっても重要な位置づけです。また、御岳百草丸の製造も行われており、地元の特産品として知られています。

建設の背景

牧尾ダムの建設は、古くから干ばつに悩まされていた地域の水供給を確保するために求められました。戦後の名古屋市を中心とした中京圏の人口増加及び工業の発展に伴い、ここに水源を確保する必要性が高まっていたのです。愛知用水公団は、木曽川を水源とし、王滝川にダムを設ける計画を打ち立てました。このプロジェクトは世界銀行からの資金援助を受けつつ進められ、完成に至りました。

渇水問題

牧尾ダムは時折、水位の低下に悩まされており、渇水が発生することがあります。その影響で近隣地域や工業地帯に水供給の制限が課されることもあります。特に1994年には知多半島での長期間にわたる断水が引き起こされ、大企業にも深刻な影響を及ぼしました。

地震の影響

1984年に発生した長野県西部地震は、牧尾ダムにも影響を与えました。堤体には致命的な損傷は見られなかったものの、いくつかのひずみが確認されました。同時に、周辺地域での崖崩れや土砂流入があり、御岳湖に大量の堆砂がもたらされました。このため、大規模な堆砂除去工事が数年にわたり必要となりました。

最近の取り組み

水資源機構は、御岳湖の掘削や堆砂の除去をやることで有効な貯水容量を確保する「牧尾ダム再開発事業」を進めています。この取り組みにより、今後も地域の水供給と発電機能を維持・向上させることを目指しています。

関連情報

牧尾ダムは、北部と知多半島の水資源供給において重要な存在です。また、ダム関連の情報は日本ダム協会や独立行政法人水資源機構のウェブサイトで確認することができます。

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