牧鉄馬

牧 鉄馬（まき てつま）は、1966年に静岡県で生まれた日本のグラフィックデザイナーであり、映像ディレクターとして活躍しています。桑沢デザイン研究所でデザインの基礎と専門的な技術を習得しました。

卒業後、1990年に丸屋に入社し、クリエイティブなキャリアをスタートさせます。その後、1993年にはソニー・ミュージックコミュニケーションズに移籍。ここでは映像制作の現場で経験を積み、その後の活動の基盤を築きました。そして1998年には、自身の名を冠したプロダクション、株式会社ファンタジスタを設立。グラフィックデザインに加え、映像ディレクションを活動の中心に据え、多岐にわたる分野でその才能を発揮し続けています。

特に、ミュージックビデオ（MV）監督としては、日本の音楽シーンを彩る数多くの人気アーティストたちの映像を手がけています。絢香の代表曲「三日月」や、GLAYの「Way of Difference」、平井堅の感動的な楽曲「LIFE is... 〜another story〜」「Ring」「大きな古時計」、ポルノグラフィティの勢いのある「Mugen」や内省的な「音のない森」「ヴォイス」「カゲボウシ」といった作品のMVを監督したことはよく知られています。その他にも、山田タマル、鬼束ちひろ、柴咲コウ、Every Little Thing、KOKIA、推定少女、福山雅治、175R、ヨースケ@HOME、阿部芙蓉美、森山直太朗、Skoop On Somebody、安藤裕子、湯川潮音、平川地一丁目など、ジャンルを超えた幅広いアーティストたちの世界観を映像として表現しています。

CMディレクターとしてもその手腕は高く評価されており、多くの人々の記憶に残るコマーシャルフィルムを多数制作しています。特筆すべきは、月桂冠『つき』シリーズのCMです。「彼女の夢」「赤の連想」「ふたりの貝」「宇宙の笑顔」「夜の響演」「昼下がりの共争」といった情緒豊かな作品群は、彼の代表作として挙げられます。他にも、キリン ラガービールの「絆」シリーズ、日産自動車の企業広告「SHIFT-anthem」や人気車種「NOTE」のCM、パイオニアのBrand AD「アンデスの少女」、本田技研工業の先進的な企業CM（FCX CONCEPT、ASIMO DINER）やファミリー向け車種「ステップワゴン」のCM、森永製菓 ウイダーinゼリー「扉」、ダイドー MiUピュアウォーター、シャープ 太陽光発電システム、UCC上島珈琲 GOLD SPECIAL、黄桜の企業CM「小林・江川対談」篇、ハウスメイトの「転勤」篇など、NEXCO中日本といった、日本の主要企業の顔となるCMを多数手がけています。

映像制作の舞台裏で活躍するだけでなく、時には表舞台にも立ちました。2007年には、日産自動車「マーチ」のコマーシャルでナレーターを務めています。

グラフィックデザイナーとして培った視覚的なセンスと、映像ディレクターとしての繊細な感性を融合させ、見る者の心に深く響く作品を生み出し続ける牧鉄馬氏は、日本の映像表現の世界において、その地位を確固たるものとしています。

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