特五式内火艇

特五式内火艇 トク

特五式内火艇トクは、大日本帝国海軍が1945年に制式化した水陸両用戦車であり、終戦直前に開発されたものの実際には完成を見ませんでした。この車両は上陸作戦用の特型内火艇という位置付けで開発され、その名称には戦術上の工夫が見られます。

開発の背景

帝国海軍では、戦争の進行に伴い上陸作戦を効果的に遂行するための車両の必要性が高まっていました。このような水陸両用戦車の開発は、特にガダルカナル島での戦いを契機に本格化しました。当時の開発は、呉海軍兵器廠造船部実験部の堀元美により行われましたが、戦局はますます悪化しており、この新型戦車の実戦配備は非常に急がれました。

設計と仕様

特五式内火艇トクは、一式[[中[[戦車]]]]を基にしてさらに改良を加えられた特三式内火艇“カチ”を元にしています。主砲としては一式47mm戦車砲が採用されており、前モデルと同じ武装を保持しつつ、火力を最大限に引き出すための設計がされていました。ただし、砲塔がなく車体前面に装備するため、全周射撃は実現できず、主に前方からの攻撃に特化しています。

また、車両には25mm機関銃が搭載されており、これにより密接してくる敵の舟艇や水陸両用輸送車両（LVT）に対する防御力を強化しました。この25mm機関銃は、当時の帝国海軍においては主力の対空機関砲として重要な役割を果たしていましたが、車両に搭載された事例は本車両が唯一です。特に、浜辺に接近する敵艦艇への攻撃を意図しているとされます。

構造と特徴

特五式内火艇トクは、他の特型内火艇と同様に、車体前部および後部に舟形のフロートを備えています。これにより、上陸後にフロートを取り外す設計がされています。しかし、47mm砲の配置が工夫されており、水上での戦闘においても敵に対して攻撃が可能です。この設計は、陸上及び水上の両方での操作性を確保するためのものでした。また、制作にあたっては生産性を意識し、溶接構造と直線的なシルエットが採用されています。

まとめ

特五式内火艇トクは、その開発過程や設計において特異な特徴を持ちながらも、実戦に投入されることなく終戦を迎えました。水陸両用戦車としてのポテンシャルと戦略的必要性は明確であったものの、戦況の変化とともにその運命は大きく変わることとなったのです。

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