特三式内火艇

特三式内火艇 カチ車

特三式内火艇カチ車は、1943年に日本海軍によって制式採用された水陸両用戦車です。この車輌は、前の特二式内火艇に比べ大型で、より強力な装甲と火力を備えています。日本陸軍の一式[[中[[戦車]]]]の改修を通じて開発されたもので、特二式内火艇からの改善が施されています。

開発背景

日本海軍は、艦隊間の戦闘だけでなく、太平洋の島々への奇襲作戦も視野に入れていました。このため、海上を航行し、海岸に自力で上陸できる戦闘車輌が求められました。1941年、特二式内火艇の設計が開始され、その成功を受けてより強力で大型の特三式内火艇の開発が決定しました。1943年から開発が始まり、最初の車輌が任務に就いたのは同年の後期から1944年にかけてです。

しかし、特三式内火艇の生産は非常に限られており、1943年から1945年の間にわずか19輌しか製造されませんでした。海軍は艦艇や航空機の製造を優先しており、特別な水陸両用作戦の計画がなかったことから、量産は低い優先順位にとどまったのです。

設計の特徴

特三式内火艇は、前面装甲が50mmと大幅に強化され、火力や防御力が大きく改善されています。車体は平滑な面構成で、前方の浮舟は艦艇の船首のような流線形をしています。また、実際には浮舟が敵の砲火に対する防御効果を発揮していたため、通常は外されることなく使用されました。

主砲には一式四十七粍[[戦車砲]]が搭載されており、射程や貫通能力も十分なものでした。副兵装として7.7mmの九七式車載重機関銃が装備され、上陸時や水中でも対応できる設計が施されています。特に、車体は水密構造で、耐圧が設けられているため、潜水艦への搭載も考慮されていました。

運用と実績

特三式内火艇は、日本本土にのみ配備され、戦闘任務には参加していないものの、終戦時には横須賀第十六特別陸戦隊に20輌が存在していました。しかし、実際の戦闘で使用される機会は一度もありませんでした。特三式内火艇は、当時としては特異な設計と性能を持つ車輌だったものの、その活躍は叶いませんでした。

参考文献

• - Foss, Christopher (2003). Great Book of Tanks: The World's Most Important Tanks from World War I to the Present Day. Zenith Press.
• - Zaloga, Steven J. (2007). Japanese Tanks 1939-45. Osprey.
• - 福島紐人「水陸両用車輌」『特集/第二次大戦の日本軍用車両』グランドパワー11月号、デルタ出版。
• - 若松和樹「海軍と戦車」『歴史群像太平洋戦史シリーズ25 陸軍機甲部隊』学習研究社。
• - ピーター・チェンバレン クリス・エリス『世界の戦車 1915～1945』大日本絵画。

関連項目

• - DD戦車 - 第二次世界大戦時のイギリスの浮航装備を持つ戦車。
• - T-38 - ソ連の水陸両用軽戦車。

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