特定不能の広汎性発達障害

特定不能の広汎性発達障害（PDD-NOS）について

特定不能の広汎性発達障害（PDD-NOS）は、かつてDSM-IV-TRで定義された広汎性発達障害の一形態であり、一般にPDD-NOSとして知られています。2013年に発行されたDSM-5では、自閉症スペクトラム障害（ASD）に統合され、これまでの診断基準が見直されました。

定義と特徴

PDD-NOSは、対人関係やコミュニケーションに関する重度の障害を伴いますが、明確な他の発達障害や精神障害の基準を満たさない場合に適用されます。具体的には、言語的または非言語的なコミュニケーションが困難であったり、常に特定の興味や行動に拘る傾向があります。また、知的障害がない場合には、高機能の広汎性発達障害とも呼ばれることがあります。アスペルガー症候群と同様に、知性が正常であっても、問題の軽度とは限らないことも覚えておく必要があります。

非定型自閉症との関係

非定型自閉症はPDD-NOSに含まれる場合があり、これは発症年齢が遅かったり、軽微な症状が見られることを示します。ICD-10では、発症年齢のみの非定型群と、症候上の非定型群、両者を持つ非定型群に細分されています。これにより、症状の程度や発症年齢に応じた診断が可能になります。

症候の臨床像

PDD-NOSの患者は、ICD-10の自閉症診断基準を完全には満たさないことが一般的です。そのため、症状が軽い場合もあれば、特定の社会性やコミュニケーション能力の要素が欠けていることが見られます。これにより、他の広汎性発達障害と区別されることが重要です。

国内外の状況

日本国内でのPDD-NOSの診断は稀であり、アスペルガー症候群への診断が多く見られます。これは、日本社会における特定の障害についての意識の違いに起因する可能性があります。海外ではPDD-NOSがより一般的に受け入れられ、広汎性発達障害の中でもよく見られるものとして扱われているため、この違いが議論を呼んでいます。

東京大学名誉教授の栗田廣氏は、日本でアスペルガーとして診断される障害者の中には、実際にはPDD-NOSに相当するケースが多いのではないかと指摘しました。

現在の医学的な分類

2013年のDSM-5の改訂により、PDD-NOSは自閉症スペクトラム障害に組み込まれ、知的障害の有無と関係なく、各障害の特性を考慮した診断が求められています。この後、症状の多様性と個別性の重要性が強調されています。

まとめ

特定不能の広汎性発達障害（PDD-NOS）は、自閉症スペクトラムの一部として扱われており、その診断には明確な基準と多様性に対する理解が必要です。幅広い症状のバリエーションが存在するため、専門的な知識と適切なアプローチが必要とされます。

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