特攻空母ベルーガ

特攻空母ベルーガ

『特攻空母ベルーガ』（とっこうくうぼベルーガ）は、長年にわたりゲーム開発に携わり、特にPC-6001向けに制作された『タイニーゼビウス』や『スペースハリアー』といった作品でその名を知られる松島徹氏によって手がけられたシューティングゲームです。2007年にWindows用ソフトウェアとして誕生しました。

開発と異例の配布経緯

本作は当初、『特攻空母ベルーガmkII』という名称で2007年に制作されました。これは、PC-6001の登場から25周年を迎えたことを記念し、クリスマスプレゼントとして、あるPC-6001のファンサイトへ贈呈されたことに端を発します。その際、作者である松島氏が通常の「転載禁止」とは真逆の、「転載しないことを禁ずる」という極めてユニークな条件を付与したため、プログラムはインターネットを通じて瞬く間に広がり、多くのユーザーが入手することとなりました。

技術的な側面としては、Windows上で動作しDirectX9が必須ではあるものの、内部的にはPC-6001相当の仮想マシン環境上でプログラムを動かすという独特の形式が採用されています。この技術的な背景もあり、後には有志たちの尽力によって、2008年には実際にPC-6001の実機上での動作が実現され、ハードウェアの枠を超えた広がりを見せました。

多様なプラットフォームへの展開

『特攻空母ベルーガ』は、その独創性から様々な形で移植・展開されています。特に注目されるのは、2015年にセガからPlayStation Vita向けに発売された『龍が如く0 基本無料アプリ for PlayStation Vita』内でのミニゲームとしての収録です。これは、『龍が如く0 誓いの場所』のリードプログラマーが松島氏の熱心なファンであったという縁から実現したもので、『SF特攻空母ベルーガ（16ビット版）』としてプレイ可能な形で移植されました。この16ビット版は、その後2016年にWindowsにも移植され、DLsiteを通じて同人ソフトウェアとして販売されています。

ちなみに、本作の正式なカタカナ表記については、PC-6001の文字コード仕様に準じた「トツコウクウホ゛　ヘ゛ルーカ゛」が正しいとされています。

独特のゲームシステム

本作のゲームシステムは、状況に応じて多様な攻撃手段を使い分ける戦略性が特徴です。自機が空中にいる状態では、前方へショットを放つツインショットや、広範囲をカバーする3WAYビームを使用できます。地上に接地している際は、真下の敵を攻撃する対地ボムや、上空の敵を迎撃する対空砲火が有効な手段となります。加えて、空中・接地を問わず使用できるアームは、敵への直接攻撃だけでなく、後述する特定のオブジェクト破壊にも重要な役割を果たします。

特に重要なのは、マップ上に配置された地上建造物は、対地ボムかアームでなければ破壊できないという点です。これにより、プレイヤーは状況に応じて適切な武装を選択する必要に迫られます。

ステージの途中には、敵に捕獲された友軍ヘリを救出するイベントが挿入されます。このヘリを無事に救出することに成功すると、自機の攻撃力をアップさせるアイテムを入手でき、その後の攻略が有利に進展します。

各ステージの最終目標は、巨大な敵防御システムの無力化です。このシステムは強固なバリアで守られていますが、アームを用いることでバリアを開放し、内部へ進入することが可能になります。バリア内部にある防御システムのコアを同じくアームで破壊すると、システムはその機能を停止します。すると、自機の母艦であるベルーガが敵本体へ向けて特攻を開始し、見事成功すると画面には象徴的なキノコ雲のグラフィックが表示され、ステージクリアとなります。

このように、『特攻空母ベルーガ』は、技術的にはPC-6001相当の環境を模倣しながらも、そのゲームデザインは当時のPC-6001では実現困難であったであろう、斬新で現代的な要素を数多く含んでいると言えます。開発者の過去への敬意と、新たなゲームプレイへの探求心が見事に融合した作品です。

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