特進

特進（とくしん）についての詳細

特進とは、古代中国において功臣に与えられた称号のひとつであり、特別な地位や待遇を象徴していました。この称号は、主に唐代において正二品の文官に対する散官として位置づけられていました。その始まりは前漢にさかのぼり、許広漢が特進に任じられたのが最初の例とされています。

特進の歴史的背景

特進の起源に関する記録は、『宋書』の百官志に見られます。そこには、特進の地位が前漢から後漢、魏、晋といった時代を通じてどのように変化していったかが示されています。特進はもともと官職を持たない列侯に与えられるものでしたが、この制度を通じて、無官の身分であっても朝廷の重要な会議に参加できる機会が与えられました。

後漢と魏における特進

後漢時代に入ると、特進の役割は変わり、特に高位の武官が儀同三司というさらに上位の地位に就くことで、特進との関係が変化しました。その後、魏の時代に入ると、列侯制度の変化に伴い、特進の位置づけがさらに混乱をきたしましたが、晋代に至ってようやく礼制が整備され、特進は文官の光禄大夫に対する加官と位置づけられるようになりました。

南北朝時代とその後

南北朝時代に入ると、儀同三司や光禄大夫が担う役割が次第に薄れ、特進は散官としての意味合いを強めていったと言われています。この時期、特進は名ばかりの地位に成り下がることもありましたが、唐代に達すると再び地位を高め、実質文官の中で最高の散官としての地位を持つことになります。特進は開府儀同三司に次ぐ地位として位置づけられ、多くの功臣に評価され続けました。

特進のまとめ

特進は、単なる称号ではなく、古代中国における官職体系や功臣たちの地位、そしてその変遷を理解するための重要な鍵となるものです。その歴史を振り返ることで、当時の政治的背景や社会構造を垣間見ることができるため、特進についての研究は今なお重要な意義を持ち続けています。特進の背景には、無官でありながらも朝廷に参加することや、地位の向上が望まれた多くの功臣の思いがあったことでしょう。

参考文献

藤井律之「特進の起源と変遷」『魏晋南朝の遷官制度』（京都大学学術出版会、2013年）第1章 （原論文:2001年）

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