犀川スキーバス転落事故

犀川スキーバス転落事故

1985年1月28日午前5時45分、長野県長野市において、犀川に架かる大安寺橋手前のカーブで、三重交通のバスがガードレールを突き破り、犀川へ転落するという痛ましい事故が発生しました。この事故により、日本福祉大学の学生22名、教員1名、運転手2名を含む合計25名もの尊い命が失われました。

事故当時、バスは北志賀高原の竜王スキー場へ向かう途中でした。同大学では、体育科の授業の一環として、2泊3日のスキー教室を予定していました。しかし、バスは雪が積もり滑りやすい路面でスピードを出し過ぎたため、コントロールを失い、水深4メートル、水温4度の犀川へ転落。この場所は、下流に建設された笹平ダムのダム湖にあたる場所でした。

事故の背景には、運転手の過労問題がありました。運転手は事故当日までの2週間を連続で勤務しており、過労状態にあったとされています。中部運輸局は、三重交通に対し、過労運転防止違反があったとして、観光バス8台の使用停止命令を下しました。これは、当時としては過去最大規模の行政処分でした。また、長野県警察は、運転手の過労が事故の背景にあるとし、三重交通の運行主任を道路交通法違反の疑いで書類送検しました。しかし、長野地方検察庁は、運転手の過労を科学的に立証することが困難であるとして、不起訴処分としました。この決定に対し、遺族や負傷者たちは長野検察審査会に審査を申し立てましたが、審査会は不起訴処分を相当と判断しました。

事故現場には、犠牲者を悼む慰霊碑が建立されました。学生たちが渡るはずだった大安寺橋は撤去されましたが、事故現場手前の道路は今も残されています。現在の大安寺橋は、事故後に新しく架け替えられたものです。日本福祉大学では、事故発生日の1月28日を「安全の日」と定め、慰霊行事を行っていましたが、2005年より不定日開催に変更されました。

また、当時25名の遺体を収容した正源寺では、現在も命日や盆に法要が営まれています。日本福祉大学のキャンパス内には、犠牲となった学生の数と同じ数の桜が植えられています。

この事故は、過労運転の危険性や安全管理の重要性を改めて社会に問いかける出来事となりました。二度とこのような悲劇が繰り返されないよう、教訓として受け継いでいく必要があります。

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死後出版によって知られる日本の人物の一覧 - 当事故の死者のうち1名の遺稿集が青磁社より出版されている。

外部リンク

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1975年撮影の現場付近空中写真。写真左側中央に旧・大安寺橋が見え、犀川の手前（南）側が事故現場であった。
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