犍為郡

犍為郡（けんい-ぐん）

犍為郡は、中国にかつて存在した郡であり、漢代から隋代にかけて、現在の貴州省および雲南省東部と四川省南部にまたがる地域に設置されました。

概要

犍為郡の歴史は、紀元前135年（建元6年）に遡ります。漢の郎中将であった唐蒙が軍を率いて夜郎国に入り、夜郎侯の多同と会見し、漢の役人を置くことを約束させたことがきっかけとなり、その地に犍為郡が立てられました。

前漢

前漢時代の犍為郡は益州に属し、以下の12県を管轄していました。

僰道（はくどう）
江陽（こうよう）
武陽（ぶよう）
南安（なんあん）
資中（しちゅう）
符（ふ）
牛鞞（ぎゅうへい）
南広（なんこう）
漢陽（かんよう）
存䣖（そんえん）
朱提（しゅてい）
堂琅（どうろう）

王莽の時代には、西順郡と改称されました。

後漢

後漢が建てられると、犍為郡の名称に戻されました。後漢時代の犍為郡は、以下の9県を管轄しました。

武陽
資中
牛鞞
南安
僰道
江陽
符節（ふせつ）
南広
漢安（かんあん）

晋

晋の時代になると、犍為郡の管轄県は以下の5県に縮小されました。

武陽
南安
僰道
資中
牛鞞

南朝

南朝宋および南朝斉の時代も、犍為郡は以下の5県を管轄していました。

武陽
南安
資中
僰道
冶官（やかん）

南朝梁の時代には、戎州が置かれ、犍為郡は戎州に属するようになりました。

隋

583年（開皇3年）、隋が郡制を廃止したことに伴い、犍為郡も廃止され、戎州に編入されました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が置かれると、戎州は犍為郡と改称されました。この時の犍為郡は、以下の4県を管轄しました。

僰道
犍為（けんい）
南渓（なんけい）
* 開辺（かいへん）

唐

618年（武徳元年）、唐により犍為郡は再び戎州と改められました。その後、742年（天宝元年）には嘉州が犍為郡と改称されましたが、758年（乾元元年）には犍為郡は嘉州と改称され、犍為郡の呼称は歴史から姿を消しました。

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