夜郎

夜郎国：古代西南地方の謎多き王国

夜郎国（拼音: Yèláng）は、中国の歴史書『史記』に記述される古代の小国です。紀元前523年から紀元前27年頃まで、現在の貴州省または雲南省付近に存在したと考えられています。

夜郎国の中心地と考古学的発見

夜郎国の中心地は、現在の貴州省赫章県の可楽イ族ミャオ族郷に位置していました。可楽遺跡からは、夜郎時代のものと思われる多くの遺跡や遺物が発掘されており、当時の文化や生活を知る手がかりとなっています。

夜郎国の建国時期は明確には分かっていませんが、考古学的な研究から、戦国時代には既に存在していたと考えられています。夜郎国に関する最後の記録は、前漢末期に漢の牂牁太守であった陳立によって、夜郎王の興が斬首され殺害されたというものです。この出来事の後、紀元前27年頃に夜郎国は滅亡したと考えられています。

史記における夜郎国

『史記』によると、夜郎国は当時の西南地域における最大の国家でした。前漢の武帝が南越国を討伐するために唐蒙を派遣した際、唐蒙は蜀郡（現在の四川省）で産出された枸醤（果物の調味料）が夜郎国からもたらされていることを知りました。武帝は南越国を牽制する目的で使節を派遣し、現地に郡県を設置し、夜郎王族を県令に任じることとしました。

漢の使者と面会した夜郎王が「漢孰與我大」（漢と我といずれが大なるか）と尋ねたことから、「世間知らずで、自信過剰」を表す「夜郎自大」（夜郎自らを大なりとす）の故事成語が生まれました。漢による郡県の設置は、南越国滅亡後にようやく実施され、夜郎国による漢への入朝も行われ、武帝は夜郎王に封じています。

夜郎国の滅亡とその後

河平2年（紀元前27年）、夜郎王・興は反漢の兵を起こしましたが、漢軍に撃破され、興は斬首されました。これにより、夜郎国は滅亡したと考えられています。滅亡後は郡県が設置され、宋代に至るまでしばしば夜郎県の名称が登場しています。

夜郎国は、その存在や文化についてまだ多くの謎が残されていますが、考古学的な発見や歴史書の記録を通じて、その一端が明らかになりつつあります。

関連項目

* 百越

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