犬塚孝明

犬塚孝明（いぬづか たかあき）は、1944年6月19日に神奈川県で生まれ、2020年3月22日に生涯を閉じた日本の歴史学者です。専門は日本近代史であり、特に幕末から明治期にかけての対外関係史に深い造詣を持っていました。鹿児島純心女子大学では名誉教授の称号を持ち、副学長も歴任しました。

経歴

犬塚孝明は、私立武蔵高等学校を卒業後、1968年に学習院大学経済学部を卒業しました。その後、歴史研究の道に進み、1974年に『薩摩藩英国留学生』を出版。この著作を機に、幕末・明治期における対外関係史を研究テーマの中心に据えました。

1984年から1994年までの間、鹿児島県立短期大学地域研究所の特別研究員として活動。1987年には「明治政治史研究会」を設立し、会長として研究活動を牽引しました。1991年には、学位論文『明治維新対外関係史研究』を法政大学に提出し、文学博士号を取得しています。

1995年、鹿児島純心女子大学国際言語文化学部の教授に就任し、国際人間学部長、副学長などの要職を歴任。教育者としても多くの学生を育成しました。2014年に鹿児島純心女子大学を退任するまで、長きにわたり教育・研究活動に尽力しました。

研究内容・業績

犬塚孝明の研究は、日本の近代史、特に幕末から明治維新にかけての対外関係史に焦点を当てたものが多く、その研究成果は学術界に大きな影響を与えました。中でも、森有礼の伝記研究は特筆すべき業績であり、『新修森有礼全集』の編纂は、森有礼研究における重要な貢献です。

家族・親族

犬塚孝明の家系も特筆すべきものです。祖父の犬塚太郎は海軍中将、父の犬塚家孝は海軍中佐という、軍人の家系に生まれました。

著書

犬塚孝明は、数多くの著書を執筆しており、その学術的な貢献は多岐にわたります。主な単著には、以下のものがあります。

『薩摩藩英国留学生』（中公新書、1974年）
『若き森有礼 東と西の狭間で』（鹿児島テレビ、1983年）
『森有礼』（吉川弘文館・人物叢書、1986年）
『明治維新対外関係史研究』（吉川弘文館、1987年）
『寺島宗則』（吉川弘文館・人物叢書、1990年）
『密航留学生たちの明治維新 井上馨と幕末藩士』（日本放送出版協会・NHKブックス、2001年）
『ニッポン青春外交官 国際交渉から見た明治の国づくり』（日本放送出版協会・NHKブックス、2006年）
『明治外交官物語　鹿鳴館の時代』（吉川弘文館、2009年）
『海国日本の明治維新　異国船をめぐる一〇〇年の攻防』（新人物往来社、2011年）
『独立を守った"現実外交" なぜ、植民地化を免れることができたのか NHKさかのぼり日本史 外交篇4幕末』（NHK出版、2012年）
『アレキサンダー・ウィリアム・ウィリアムソン伝　ヴィクトリア朝英国の化学者と近代日本』（海鳥社、2015年）

また、編著としては以下のものがあります。

『明治国家の政策と思想』（吉川弘文館、2005年）
* （石黒敬章）『明治の若き群像 森有礼旧蔵アルバム』（平凡社、2006年）

これらの著作は、日本の近代史研究において重要な文献として、現在も多くの研究者や学生に読まれています。犬塚孝明は、その研究活動を通じて、日本の歴史研究に多大な貢献をした人物として、その功績は高く評価されています。

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