狐山古墳 (堺市)

狐山古墳：仁徳天皇陵の傍らに佇む古墳

狐山古墳は、大阪府堺市堺区大仙中町に位置し、百舌鳥古墳群の一角をなす古墳です。宮内庁によって大仙陵古墳（仁徳天皇陵）の陪塚として管理されています。大仙公園内に位置し、墳丘への立ち入りは制限されています。

概要

墳丘は最大長さ23メートル程度の不安定な平面形をしており、高さは約2〜3メートルです。以前は大阪府立大学農学部の敷地内にありましたが、大仙公園の造成に伴い、現在の位置となりました。古墳の西側は「まなびの道」、南側は「狸小路」という小径に接しています。

2009年の発掘調査で、墳丘の規模は直径30メートル、周囲には幅5メートルの濠があり、濠底からの墳丘の高さは約5メートルであることが判明しました。濠からは葺石、埴輪、須恵器などが出土し、墳丘には埴輪が並べられ、斜面には石が葺かれていたと考えられています。また、濠の底からは中世の土器である瓦器が出土しており、13世紀以降に濠に溜まった土砂が取り除かれた可能性が示唆されています。埋葬施設や副葬品はまだ特定されていませんが、出土した埴輪などから、5世紀後半に築造されたと推定されています。

大仙陵古墳の南側には、孫太夫山古墳や収塚古墳、竜佐山古墳などの帆立貝形前方後円墳が次々と築かれましたが、狐山古墳のような円墳も築かれています。そのため、その位置づけが注目されていますが、墳丘の形や濠の断面の特徴から、方墳である可能性も指摘されています。

調査の経緯

1930年頃の記録では、古墳の周囲には濠の痕跡が残っていたとされています。1998年には墳丘の西側で範囲確認調査が実施され、円筒埴輪片が出土しました。2008年には地中レーダー探査が行われ、古墳に関連する遺構の状況や地盤の状態が調査されました。その結果、墳丘から4〜7メートル外側の位置で反射面の落ち込みが検出され、周濠の可能性が示唆されましたが、方墳か円墳かの判別はできませんでした。

2009年の掘削調査では、墳丘の西・南・東で濠が検出され、円墳であることがほぼ確実となりました。規模は、大仙陵古墳周辺に位置する古墳としては、一本松塚古墳に匹敵する小型の円墳です。出土した円筒埴輪から、築造時期は大仙陵古墳よりも四半世紀近く遅れており、5世紀第3四半期でも新しい時期であると考えられています。また、この調査で、濠から5世紀前半および5世紀後半以降の須恵器が豊富に出土しました。

伝説

大仙陵古墳の墓守が、流れ弾に当たった狐を助けたという伝説があります。その後、墓守が泥棒に襲われて濠に投げ込まれた際、何者かに助け上げられました。翌朝、濠の中には死んだキツネがおり、墓守はキツネが恩返しをしてくれたのだと考え、手厚く葬ったと伝えられています。

狐山古墳は、大仙陵古墳の歴史や当時の社会情勢を物語る貴重な存在であり、その調査結果や伝説は、古代史研究に新たな光を投げかけています。

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