猪方

東京都狛江市猪方：多摩川沿いの歴史と自然が息づく町

猪方（いのがた）は、東京都狛江市の南部に位置する町名で、一丁目から四丁目までが存在します。かつては猪方村として成立し、現在は狛江市の一部となっています。多摩川が南側を流れ、豊かな自然環境に恵まれています。

地理的特徴

猪方は、多摩川中流の北岸に位置し、町の西部には広い台地が、南東部には沖積低地が広がっています。この台地と低地の境には、府中崖線（ハケ）と呼ばれる地形が見られ、最大2メートルの比高差があります。台地上は古くから人々の生活の場として利用され、原始時代から平安時代にかけての遺跡が点在しています。

歴史

猪方の地には、かつて猪方村が存在しました。文化14（1817）年には、松平定信が万葉集の東歌を刻んだ玉川碑が建てられましたが、文政12（1829）年の洪水で流失しました。その後、大正11（1922）年に現在の和泉四丁目に再建されています。

1963年には、狛江第一中学校や千町耕地付近の飛地が整理され、現在の猪方の形がほぼ完成しました。1982年11月1日には住居表示が実施され、現在の町名となっています。

遺跡と古墳

猪方の台地上には、原始時代から平安時代にかけての遺跡が点在しています。特に古墳時代に造営された古墳は、狛江古墳群の一部をなし、猪方支群を構成しています。狛江古墳群は、3つの支群に属する約100基の古墳で構成されていますが、現存する古墳は少なく、猪方には前原塚古墳と猪方小川塚古墳が現存するのみです。

災害への備え

猪方地域内には多摩川が流れており、狛江市のハザードマップによると、全域が最大3m以上の浸水危険エリアに含まれています。令和元年東日本台風の際には、実際に浸水被害が発生しており、地域住民にとっては水害対策が重要な課題となっています。

交通

猪方には鉄道駅はありませんが、小田急電鉄の和泉多摩川駅が最寄り駅となります。ただし、一丁目の一部からは狛江駅の方が近い場合もあります。また、地域内には水道道路や猪駒通りなどの主要道路が通り、小田急バスによる路線バスが運行されています。

主な施設

調布警察署猪方交番
狛江市立狛江第三小学校
狛江市立狛江第二中学校
南部地域センター
和泉自動車教習所
白幡菅原神社
猪方小川塚古墳
宿河原堰堤

現在の猪方

2024年1月現在の人口は、3,399世帯6,603人です。猪方は、多摩川の恵みを受けながら、歴史と文化を大切にする地域として、狛江市の中で独自の魅力を放っています。自然環境と都市機能が調和した猪方は、住みやすい街として、これからも発展を続けていくでしょう。

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