宿河原

宿河原：歴史と自然が調和する川崎の町

概要

神奈川県川崎市多摩区東部に位置する宿河原は、1丁目から7丁目までを擁する、住居表示実施済みの町です。面積は約2.00平方キロメートルで、JR南武線が貫通し、二ヶ領用水に合流する宿河原用水も流れています。多摩川の沖積地に形成されたこの地域は、住宅地が中心ですが、梨畑などの農地も点在し、歴史と自然が調和した景観を呈しています。都心から約20キロメートルの距離にあり、利便性も高い点が魅力です。北は多摩川を挟んで東京都世田谷区や狛江市と、東は堰、南東は高津区、南は長尾、西は東生田・登戸と隣接しています。

気候

東京都心と同様に、夏は高温多湿で熱帯夜が多く、冬は氷点下になる日もあります。

地価

2024年1月1日時点の公示地価によると、宿河原1丁目、2丁目、3丁目、6丁目、7丁目において、1平方メートルあたり30万～39万5千円の価格帯となっています。これは近年の地価上昇を反映していると言えるでしょう。

歴史

宿河原の歴史は古く、曽我物語や徒然草にもその地名が登場することから、古くからこの地に集落が存在していたことが窺えます。戦国時代には「駒井宿河原」として小田原衆所領役帳に記録されており、現在の多摩川対岸にある駒井村と一体であったと推測されています。文化年間（1804年～1818年）頃には多摩川の流路が変化し、現在の位置になりました。江戸時代には橘樹郡宿河原村となり、幕府の天領を経て、一部は増上寺に寄進されました。村高は時代とともに変遷し、農地は水田が中心でしたが、文化年間以降は梨栽培が盛んになり、幕末には養蚕も行われていました。多摩川の鮎釣りも盛んに行われていたようです。

明治時代には地租改正、町村制施行を経て稲田村の大字となります。その後、多摩川の大氾濫によって対岸に飛地ができましたが、1912年に狛江村に編入されています。大正時代には新明国上教が起こり、信者たちの手によって宿坊が建立されました。昭和に入ると南武鉄道が開通し、宿河原駅が開業します。当初は多摩川の砂利採取を目的としていたため、駅からは砂利採取場への支線も延びていました。第二次世界大戦中には、工場の設置や農地の転用など、戦時体制の影響を強く受けました。戦後は果樹栽培が復興しましたが、桃は次第に衰退していきました。昭和30年代頃から宅地開発が進み、農業用であった土地改良区による区画整理事業も、宅地化を加速させる要因となりました。

地名の由来

地名の由来は諸説ありますが、定かではありません。「新編武蔵風土記稿」では、古くからあった小名「宿」と多摩川の「河原」を組み合わせたものとする説が挙げられています。「宿」については、宿場があったという証拠はなく、諸説が唱えられています。

沿革

宿河原の歴史は古く、1559年の「小田原衆所領役帳」に「駒井宿河原」として記録されています。その後、1590年の多摩川の大洪水により現在の位置に落ち着き、1629年には宿河原用水が開通しました。江戸時代、明治時代、昭和時代と時代を経て、1939年には川崎市に編入され、1972年には川崎市政令指定都市移行により川崎市多摩区宿河原となりました。1987年には住居表示が施行され、現在の1丁目～7丁目となりました。

交通

宿河原駅（JR南武線）をはじめ、周辺には久地駅、登戸駅も近接しており、鉄道によるアクセスは良好です。道路網も整備されており、東名高速道路、南武沿線道路、多摩沿線道路などが通っています。バス路線も充実しており、登戸駅や菅生営業所などを結んでいます。

施設

宿河原には、川崎市立多摩病院、川崎市緑化センター、警察署、郵便局、金融機関、JAなどの公共施設や金融機関、二ヶ領せせらぎ館などの地域施設、そして複数の寺院や神社といった宗教施設などが存在し、住民生活を支えています。教育施設としては、神奈川県立多摩高等学校、川崎市立稲田中学校、川崎市立稲田小学校、川崎市立宿河原小学校などがあります。

その他

宿河原には、徒然草第百十五段石碑など、歴史を感じさせる史跡も残されています。郵便番号は214-0021、集配局は登戸郵便局です。

まとめ

宿河原は、歴史と自然、そして現代的な利便性を兼ね備えた魅力的な町です。古くからの歴史と、近年における発展が共存する、住みやすい環境が整っています。今後ますますの発展が期待されます。

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