狛江市立狛江第三小学校

東京都狛江市猪方三丁目に位置する狛江市立狛江第三小学校は、市内にある六つの小学校の一つで、市の南部にあります。「狛江三小」や単に「三小」と略されることもあります。

概要

市の南部に広がるこの学校の学区は、世田谷通り以南から水道道路以北、岩戸北四丁目、そして猪方二丁目及び三丁目のそれぞれ一部を含んでいます。多くの卒業生が狛江市立狛江第二中学校へ進学しています。また、学校には情緒障害を抱える子どもたちのための通級指導学級が設けられており、個々の教育的ニーズに応じた支援を提供しています。2019年には、ダイヤモンド社による狛江市内の小学校に関する調査で、教育環境力の面で市内で3位に評価されました。特に注目すべきは、学校の敷地内に「矢崎山」と呼ばれる古墳が存在していたとされる点です。

沿革

狛江第三小学校は、狛江町（当時）における児童数の増加に対応するため、地域住民からの強い要望に応える形で設立されました。特に団塊世代が学齢期に達する頃であり、小学校の必要性が高まっていました。1957年10月1日、狛江町立狛江第一小学校から分離する形で開校し、同日には第一小学校の六年生を除く419名の児童が転籍し、授業が開始されました。

開校に至るまでの過程では、学校敷地付近から円筒埴輪の破片などが出土しています（1955年5月）。学校建設は1956年に始まりましたが、その過程で敷地内にあったとみられる古墳の一部が失われました。

開校後も学校の整備が進められ、1957年12月3日には校章が、1961年3月23日には校歌がそれぞれ制定されました。1962年6月1日には、昭和37年度の学園モデル校に指定されています。1967年4月1日には、卒業生の主な進学先となる狛江町立狛江第二中学校が開校しました。

1970年10月1日、狛江町が市制を施行し狛江市となったことに伴い、学校名も狛江市立狛江第三小学校に改称されました。翌1971年4月1日には狛江市立狛江第六小学校が開校し、同時に学区の一部変更が行われました。教育内容の拡充も図られ、2004年4月1日には通信指導学級である「ひまわり学級」が開設されました。2013年にはタブレット端末が導入されるなど、教育環境の現代化も進められています。2018年4月1日には、第16代校長として荒川元邦氏が着任しています。

矢崎山古墳

狛江市立狛江第三小学校の敷地内には、かつて「矢崎山」あるいは「矢崎山古墳」と呼ばれた古墳が存在したと考えられています。この地域には狛江古墳群があり、「狛江百塚」とも称されるほど多くの古墳が存在していましたが、開発などにより現存しないものも少なくありません。

矢崎山古墳は現在その姿を見ることはできませんが、1960年に行われた狛江町全域の古墳分布調査の報告書には記録が残されています。当初は名称不明として扱われその実在性が不確かな時期もありましたが、1976年の第二回古墳分布調査の結果では、「現存しないがその存在が確認できる古墳」として改めて取り上げられました。特に、第三小学校の建設時に円筒埴輪片や土器片が多数発見されたという記述から、実際に古墳が存在した可能性が非常に高いとされています。

古墳の正確な位置については確定していませんが、学校の北西側を通る「三小通り」が学校敷地を避けるように円弧を描いている箇所があり、そこに古くから「矢崎花壇」と呼ばれる中庭のような場所が存在します。このことから、学校のPTAが設置した看板では、この花壇の場所が古墳跡であると説明されています。

関係者

学校に関わりのある人物としては、第30代東京大学総長や物理学者として知られる五神真氏が本校の出身者です。また、現職（2022年度現在）の第16代校長である荒川元邦氏は、東京都公立小学校長会副会長や全国連合小学校長会対策部長などを歴任されており、教育行政や教育政策における要職を経験されています。2022年3月7日には、バスケットボール女子日本代表のキャプテンとしてオリンピック銀メダルを獲得した髙田真希選手が、狛江市の取り組みの一環として本校で一日校長を務め、児童たちと交流しました。

その他

学校の校章は、初代校長によってデザインされ、勾玉、剣、矢がモチーフとなっています。特に「矢」は、学校敷地内に存在したとされる矢崎山に由来し、三本の矢は校名である「第三」を表しています。この校章は1957年12月3日に制定されました。
校歌は、歌人の佐藤佐太郎氏が作詞を、作曲家の坂本良隆氏が作曲を手がけ、1961年3月23日に制定されています。

2022年6月17日には、体育の授業中に児童が体調不良を訴え、熱中症の疑いで数名が救急搬送される事案が発生しました。当時の気温は夏日でしたが、学校は体育館内の換気を行うなどの対応を取っていました。この出来事は速報として報じられ、夏の体育授業の実施方法やマスク着用に関する社会的な議論を呼ぶきっかけの一つとなりました。

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