猪苗代城

猪苗代城の概要

猪苗代城（いなわしろじょう）は、福島県耶麻郡猪苗代町に位置する歴史的な日本の城であり、別名として亀ヶ城とも呼ばれています。その跡地は福島県指定の史跡に指定されており、歴史的かつ文化的な重要性を持っています。

歴史

中世の始まり

猪苗代城の歴史は1189年の奥州合戦に遡ります。この戦いで功績を上げた佐原義連は、会津の4つの郡を与えられ、その子孫である経連が耶麻郡猪苗代を支配し、猪苗代氏を名乗ったとされます。経連は1248年に将軍・藤原頼嗣のもと会津猪苗代麻谷庄を与えられており、これが猪苗代氏の起源とされています。

また、猪苗代八手山城の建設が1191年に行われたとも伝わりますが、その位置については様々な説があります。実際の築城時期は1247年以降である可能性が高いと再評価されています。猪苗代氏は本家の蘆名氏と同族でありながら、反乱と従属を繰り返し、1589年の摺上原の戦いでは、猪苗代盛国が伊達政宗に内応し、蘆名氏の滅亡に大きく関与しました。

近世の発展

その後、猪苗代城は会津領の重要な拠点として位置付けられ、多くの有力な大名に支配されました。城代は蒲生氏郷や上杉景勝などが任命され、江戸幕府の一国一城令においても特例として残存が認められました。

特に蒲生秀行時代の岡重政はキリシタンとして知られ、城におけるキリスト教の普及を試みましたが、彼の死後は寺社の弾圧が始まりました。寛永20年に保科正之が藩主となると、猪苗代城は彼の墓所の守護役も担うようになりました。

幕末の衝撃

1868年、戊辰戦争の際には母成峠の戦いで西軍が東軍を破り、城は焼かれ、建物は全て失われました。これにより、猪苗代城の役割は幕を下ろしました。

近現代の変遷

戦後、猪苗代城の跡地は長い間放置されていましたが、1905年に小林助治らが日露戦争の記念として桜やツツジを植樹し、公園として整備しました。春になると、観光客が集まる花見の名所となり、野口英世も幼少期にこの城跡で遊んでいたそうです。2001年には「猪苗代城跡 附鶴峰城跡」として史跡に指定され、さらにその重要性が増しています。

城の構造

猪苗代城は平山城で、南北に250メートル、東西に200メートルの大きさを持ち、標高差は約30メートルです。現在も本丸、二の郭、帯郭、石垣、土塁、空堀などが残されており、その保存状況は良好です。特に、丘の最上部に位置する本丸は土塁で囲まれ、周囲の構造と一体を成しています。大手口には石垣による枡形虎口が築かれており、この設計は蒲生氏によるものであると考えられています。

城周辺の見所

近隣には鶴峰城と呼ばれる城跡もあり、こちらは猪苗代城が使用された後に廃城となっており、当時の戦国時代の構造が残っています。猪苗代城もその歴史を通じて、多くの変遷を経た名城としての役割を果たしました。

猪苗代城はその歴史的背景や構造の独自性から、日本の城の中でも特に重要な存在であり、多くの観光客が訪れるスポットとなっています。

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