献穆曹皇后

曹節（そう せつ）

曹節は、後漢王朝最後の皇帝、献帝の皇后として歴史に名を刻んでいます。彼女は、魏の基礎を築いた曹操の娘であり、初代皇帝となる曹丕の妹でもあります。献帝の崩壊と魏の成立という激動の時代を、皇后、そして山陽公夫人として生きました。

生涯

建安18年（213年）7月、曹節は姉の曹憲、妹の曹華と共に献帝の後宮に入り、夫人に封じられます。翌年には貴人に昇格しました。建安20年（215年）には、伏皇后の父である伏完が董承の弔い合戦として反乱を計画したことが発覚。伏皇后一族が処刑されるという事件が起こります。その後、曹節は皇后に立てられました。

建安25年（220年）に曹操が世を去ると、後を継いだ兄の曹丕は献帝に禅譲を迫ります。この時、曹節は伝国璽を奪い、使者に渡すことを拒みました。激しい抵抗は数日に及びましたが、最終的には曹節は「天に見放されるというのか」と嘆き、伝国璽を投げつけ、涙を流したと伝えられています。その姿を見た人々は、悲しみのあまり顔を上げることができなかったと言われています。このエピソードは、前漢末期に王莽が禅譲を迫った際、王莽の叔母である王政君が同様に伝国璽を投げつけた故事と重ねて語られることもあります。

献帝は禅譲後、山陽公に封じられ、曹節は山陽公夫人として献帝に付き添いました。彼女は魏の公主となることはありませんでした。

献帝が崩御した後も曹節は生き続け、甘露5年（260年）にその生涯を閉じました。この年は、高貴郷公が司馬昭一派によって殺害されるという衝撃的な事件が起こった年であり、曹氏の衰退は誰の目にも明らかとなっていました。

三国志演義における曹節

小説『三国志演義』における曹節の描写は、版本によって異なっています。初期の版本では、曹丕が禅譲を迫った際、献帝に対して「なぜ兄に従わないのか」と罵る場面があり、『後漢書』とは正反対の人物として描かれていました。しかし、毛宗崗によって『後漢書』に沿った形で修正され、「曹皇后は大義を知っている」と評価されるようになりました。

関連人物

献帝 (漢)
曹丕
* 王政君（孝元王皇后）

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