董承

董承（とう しょう）

董承は、中国後漢末期に活動した著名な武将であり、一般的には献帝の祖母である孝仁董皇后の甥とされています。ただし、彼の親族関係については後世の歴史家から疑問視されています。娘は献帝の側室として知られており、董承の家系は後漢王朝の歴史において重要な役割を果たしました。

正史における董承の事跡

董承はもともと董卓の娘婿、牛輔の部下でした。董卓の死後、彼は長安における権力争いに関与し、具体的な行動は定かではありませんが、その一翼を担っていたと考えられています。興平2年（195年）7月、献帝が洛陽に帰還する際、董承は安集将軍に任命されましたが、帰路での困難に直面しました。

同年11月、彼が参加した献帝の一行は郭汜による謀反に巻き込まれました。これにより董承は勇敢に楊定や楊奉と共に郭汜の軍と戦いました。さらに、献帝一行が華陰に到着した際、統治者の段煨との政争も影響を及ぼしました。董承は楊定と共に段煨に反対し、讒言を用いて献帝を守ろうとしました。この後、さらに葛藤が続き、董承は李傕・郭汜との連合軍と対峙しましたが、やがて彼らに敗北しました。

その後の戦闘において、董承は援軍として様々な勢力を呼び込むことに成功し、一時的に勝利を収めましたが、再び李傕・郭汜・張済の連合軍に敗北しました。逃亡の最中、多くの官人が董承の船に捕まり、彼は武器で彼らを撃退しました。この惨事によって、献帝の一行は数十人に減少し、何とか安邑にたどり着きました。

董承の一族の末路

建安元年（196年）1月、曹操の命令で派遣された曹洪との戦闘に董承は参戦しましたが、後に献帝の保護を受けるために出仕しました。彼は韓暹と共に供奉し、献帝の宿衛任に就きました。やがて董承は密かに曹操に接触し、彼の支持を得て自身の地位を確保することに成功します。続いて、彼は列侯に封じられました。

しかし、董承はだんだん権力を強大化していく曹操に対して危機感を抱くようになり、中平の暗殺計画を立てました。しかし、計画が発覚し、彼の一族は捕らえられ処刑される運命に見舞われました。特に彼の娘も妊娠中であったにもかかわらず、曹操はその命を奪いました。

文学における董承

小説『三国志演義』では、董承は医師とのやり取りや召使との争いから計画が漏れるというエピソードが追加されています。さらに、事件の数年後、亡霊となった董承たちが曹操を苦しめる逸話も取り上げられました。このようにして、董承は後の物語や文学において、その忠臣としての側面が強調され、多くの脚色が加えられました。

特に、その忠義の姿勢に重きを置いた物語が多く、彼の実際の出自や緊迫した政争については意図的に省略されていることが目立ちます。

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