猿掛城

猿掛城の歴史と概要

猿掛城（さるかけじょう）は、岡山県の倉敷市真備町と矢掛町の境界に位置する歴史的な山城です。この城は、標高243メートルの猿掛山に築かれた連郭式の山城であり、その歴史は平安時代末期にさかのぼります。児玉党の庄家長が、ここに城と居館を構えたことから猿掛城の歴史が始まりました。この城は、庄氏の居城として長い間利用され、地域の防衛の拠点となりました。

城の発展と武士たちの争い

猿掛城は南北朝時代には南朝の北畠親房に属し、足利尊氏配下の高師直と戦うこととなります。戦国時代中期には、庄為資が松山城の上野頼氏を攻めて滅ぼし、備中国内での勢力を強化しました。以降、庄氏の一族である穂田実近が猿掛城に入城することとなります。

その後の歴史では、庄氏が尼子氏と提携したことが原因で、三村家親が毛利氏と結びつき、猿掛城を攻略しました。この戦いは、戦国時代の混乱の中で繰り返し起こったもので、史料『安西軍策』や『陰徳太平記』によると、天文22年（1553年）に行われたとされていますが、古文書の調査によって、実際には1552年と1559年にわたり行われた事が判明しています。

宇喜多氏による略奪と毛利氏の反撃

永禄11年（1568年）、庄高資が宇喜多直家に呼応したため、宇喜多氏が一時期猿掛城を手中にします。しかし、毛利元就は四男の元清を送り込み、城を奪回しました。この時、家親の子である元親が高資を追い落とし、松山城の城主となり、備中における影響力を強めました。

その後、天正2年（1574年）には、元親が織田信長と結びついたことで、毛利氏と三村氏の間での激しい戦闘が再開され、猿掛城は三村氏の攻撃の前線基地として重要な役割を果たしました。天正3年（1575年）には松山城落城によって、この混乱は終息を迎えました。元清は、この際の功績から猿掛城の城番に任命されるとともに、備中国小田郡で多くの知行地を与えられることとなります。

その後の猿掛城

元清は猿掛城の城主として、毛利氏の東方への侵略を防ぐ要として活躍しました。彼は、猿掛城の存在を重視し、また、城周辺の防衛を強化して地域の安定を図りました。天正10年（1582年）には、高松城水攻めに際し毛利輝元の本陣としても機能しました。そして、天正11年（1583年）に元清は茶臼山に中山城を築き、猿掛城には重臣の宍戸隆家を城代として置くことになりました。

しかし、慶長5年（1600年）に毛利輝元が関ヶ原の戦いで敗北したことから、猿掛城は廃城となりました。城跡は現在、矢掛町と倉敷市の両方でそれぞれ史跡として指定され、歴史の証人としてその存在が保たれています。猿掛城は、数世代にわたる武士たちの歴史を物語る重要な遺産となっています。

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