猿楽町で会いましょう

猿楽町で会いましょう

『猿楽町で会いましょう』（さるがくちょうであいましょう）は、2019年に製作され、2021年6月4日に劇場公開された日本の映画作品です。本作は、俳優の金子大地と石川瑠華が主演を務め、児山隆がメガホンをとった初の商業長編監督作品となりました。

概要

本作は、もともと2019年4月に開催された「第2回未完成映画予告編大賞 MI-CAN」においてグランプリを受賞した企画を発端としています。この受賞を受け、同年6月には長編映画として製作されることが正式に決定しました。脚本は、監督である児山隆自身が渋谷悠と共同で執筆しています。

主演の一人を務める石川瑠華は、この映画の予告編製作時点ではまだ女優として活動しておらず、本作が初めての商業作品での主演となりました。児山監督が彼女を見出し、Instagramを通じて直接出演交渉を行ったというエピソードも、舞台挨拶で明かされています。

完成後、2019年10月には「第32回東京国際映画祭」の日本映画スプラッシュ部門に正式出品され、この映画祭が本編のワールドプレミアとなりました。その後、2020年1月19日には愛媛国際映画祭でも上映されています。

物語には性的な描写が盛り込まれているため、日本の映画倫理機構（映倫）からは15歳未満の観賞が制限されるR-15指定を受けています（映倫番号 122082）。

当初、本作は2020年6月5日の公開が予定されていましたが、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、公開が延期されました。その後、約一年後の2021年6月4日に改めて公開されることになりました。

また、2020年6月26日から開催されたイタリアのウディネ・ファーイースト映画祭にも、コンペティション部門でノミネートされました。こちらも新型コロナウイルスの影響により、オンライン形式での開催となりました。

あらすじ

物語の主人公は、まだ芽が出ないフォトグラファーの小山田と、どこか掴みどころのない魅力を放つ読者モデルのユカ。二人は運命的な出会いを経て恋に落ち、東京の猿楽町にあるアパートで一緒に暮らし始めます。小山田は被写体としてユカに魅せられ、日々シャッターを切り続けます。

しかし、小山田がユカを撮り続けるうちに、その写真が二人の関係性や運命を大きく揺るがしていくことになります。なぜユカは、これほどまでに儚く、まるで虚像のような存在感を纏っているのか。写真は、二人の間に隠された真実を浮き彫りにしていくのでしょうか。フォトグラファーの視点を通して描かれる、不安定で危うい愛の行方が描かれます。

キャスト

小山田修司 演 - 金子大地
売れない日々を送るフォトグラファー。
田中ユカ 演 - 石川瑠華
どこか謎めいた雰囲気を持つ読者モデル。
北村良平 演 - 栁俊太郎
若手のインテリアデザイナー。
大島久子 演 - 小西桜子
ユカの友人。
嵩村秋彦 演 - 前野健太
小山田が自身の作品を売り込みに訪れるファッション雑誌の編集長。
片岡康平 演 - 長友郁真
小山田と仕事で関わる編集者。
山本優一 演 - 大窪人衛
ユカに思いを寄せるアルバイト仲間。
久万紀子 演 - 呉城久美
ユカのアルバイト先の店長。
山中一友 演 - 岩瀬亮

スタッフ

本作の製作には、以下の主要スタッフが携わっています。

監督：児山隆
脚本：児山隆、渋谷悠
製作：長坂信人
エグゼクティブプロデューサー：神康幸
プロデューサー：利光佐和子
音楽プロデューサー：鶴丸正太郎
協力プロデューサー：井上潔
撮影：松石洪介
照明：佐伯琢磨
録音：桐山裕行
美術：三ツ松けいこ
装飾：山田真太郎
スタイリスト：JOE
ヘアメイク：中山有紀
編集：柿原未奈
音楽：橋本竜樹
助監督：東條政利
キャスティング：新江佳子
制作担当：高橋恒次
写真：草野庸子
後援：ドリームインキュベータ
配給：ラビットハウス
制作プロダクション：オフィスクレッシェンド

音楽

エンディングテーマには、アーティストの春ねむりによる楽曲『セブンス・ヘブン』（TO3S RECORDS）が使用されています。春ねむりは、一般公開用の予告編のナレーションも担当しました。このエンディングテーマは、東京国際映画祭での初上映時には使用されておらず、劇場公開用に追加されたものです。

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