猿股
猿股（さるまた）についての解説
猿股は、日本の男子用下着で、腰から股の部分を覆うズボン型の特徴を持っています。この名前は「猿又」や「申又」などの別名でも知られています。猿股は、古来の男性用下着である褌（ふんどし）の対義語と位置づけられています。このため、短い下穿き一般を指すこともあり、特にレトロニムとしての意味合いを持つこともあります。一般的に、猿股は洋式の下着が日本で広まった大正時代後期に見られる形として、現代のボクサーブリーフに似たニット製の肌着を指すことが多いです。
1920年代から30年代にかけて紹介された猿股は、ラクダ色のメリヤス地で作られ、深い股上とある程度の股下のあるボクサー型のデザインを醸し出しています。こうした特徴から、猿股という名称は股下がないブリーフタイプや、伸縮性のないトランクスタイプの下着にも使われることがあります。しかし、猿股そのものの形状や素材に関する明確な定義は存在しません。
歴史を遡ると、ニット製の男性用肌着の起源は19世紀半ばに誕生したユニオンスーツにまでさかのぼります。ユニオンスーツは、当初フランネル製であり、後にメリヤスが用いられるようになりました。20世紀に入ると、これが上下分離のツーピース形式に変化しました。日本に持ち込まれた猿股は、第一次世界大戦を経て短パン丈のスタイルが確立されました。これに対して、膝下までの長さを持つ旧式の下着は「股引」や「ステテコ」と呼ばれ、これらはズボン下としての防寒用中間着として利用されていました。
時代と共に、下着のデザインは通気性や快適性を重視して進化してきました。これにより、式典があるトランクスや股下のないブリーフなどが普及するにつれ、猿股という言葉は次第に使用されなくなっていきましたが、元々定義のない俗称であったため、現在でも猿股と呼ぶ人が存在します。
猿股を描いた媒体の一例として、松本零士の漫画「男おいどん」が挙げられます。この作品の主人公は、青いストライプ柄のトランクスを好んで着用し、それを「サルマタ」と称しています。このように、猿股は日本の下着文化において独特な位置を占めており、時代の流れとともにその存在感が変わってきたことを示しています。
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