間着

江戸時代の女性衣装：間着（あいぎ）の文化

間着（あいぎ）とは、衣服と衣服の間に着る衣服、特に江戸時代の武家女性が打掛の下に着ていた小袖のことです。打掛という豪華な外套のすぐ内側に着用され、その美しさを引き立てる重要な役割を担っていました。

間着は、単に防寒や装飾のためだけでなく、身分や季節、そして着用する機会によって、素材や色、模様が厳密に定められていました。正式な場では高級な綸子（りんず）が用いられ、普段着には絞りや刺繍が施されたものが多く見られました。経済的な事情や身分によっては、縮緬（ちりめん）や紗綾形（さやがた）といった素材が用いられることもありました。

現代では、花嫁衣装において、打掛の下に着る衣服を「掛下」と呼びますが、この掛下は、江戸時代の間着の伝統を受け継いでいると言えるでしょう。

間着の種類と着用時期

間着には、主に以下の3種類があり、それぞれの色によって着用時期が決められていました。

間赤（あいあか）： 紅色の間着です。主に冬の寒い時期に着用されました。鮮やかな紅色は、冬の寒さを暖かく彩る、華やかな印象を与えていたと考えられます。

間黄（あいぎ）： 黄色の間着です。正月に着用されることが多く、新年を祝う特別な装いとして用いられました。黄色は、古くからめでたい色とされ、新年を祝うにふさわしい華やかさを演出しました。

間白（あいじろ）： 白地の間着です。冬と正月以外の時期に広く着用されました。白は、様々な色柄の打掛と相性が良く、季節や場を選ばずに着用できる汎用性の高さが特徴でした。

これらの間着は、単なる衣服ではなく、着用する女性の身分や季節感を表現する、重要な衣装の一部でした。素材や色、模様の組み合わせによって、着用者の個性を際立たせ、その時代の美意識を反映していたと考えられます。

間着と社会

間着は、江戸時代の武家女性の社会的地位や、季節感、そして着用する機会によって、素材や色、模様が厳密に定められていたことから、当時の社会構造や文化の一端を垣間見ることができる貴重な資料です。間着を通して、江戸時代の女性たちの生活や美意識、そして社会構造をより深く理解することができるでしょう。

間着に関する研究は、歴史研究や衣装史研究において重要な位置を占めており、今後も新たな発見や解釈が期待されます。 歴史資料や博物館などの所蔵品を通じて、間着の更なる魅力に触れることができるでしょう。

参考文献

日本歴史大事典（小学館）
* 日本国語大辞典（小学館）

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