玄人志向

玄人志向：PCエンスージアストのためのブランド

玄人志向（Expert Oriented）は、シー・エフ・デー販売（CFD販売）が展開する、PC周辺機器のブランドです。CFD販売はメルコホールディングス（メルコHD）傘下にあり、実質的にバッファローなどメルコグループの自作ユーザー向け低価格パーツブランドとしての役割を担っています。

概要

玄人志向は、高度な知識を持つ自作PCユーザーをターゲットに、「カスタマーサポートは不要」という層に向けた製品を提供しています。その特徴は、以下の3点に集約されます。

1. 海外製造メーカーからのOEM製品を大量一括調達し、低価格化を実現
2. 上級ユーザーの要望に応え、一般向けには販売が難しいマニアックな製品を企画
3. 海外パーツメーカーから持ち込まれた、一般的ではない仕様のパーツを販売

これらの製品を利用するには、PCの技術規格に関する知識が不可欠です。そのため、多くの製品でメーカーサポート、日本語マニュアル、デバイスドライバのローカライズ、商品カタログ、パッケージ外装などが省略されています。

特にパッケージは、玄人志向のマークが印刷された簡素なボール紙に型番シールを貼っただけのものが多く、業務用製品のような印象を与えます。ただし、近年では紙のグレードが上がり、化粧箱も登場しています。

ブランド名は2001年に初登場しましたが、当初は販社名が伏せられた正体不明のブランドであったため、「素性不明のB級品ブランド」という誤解もありました。

「PC初心者お断り」「素人瞬殺」といったキャッチコピーが示すように、ハードウェアや設定に関する知識、英語の読解力が必要とされます。そのため、ユーザーからは「苦労と思考」「苦労と試行」などと揶揄されることもあります。しかし、サポートやパッケージのコストダウンにより、性能の割に安価であること、公式ウェブサイトの掲示板を通じたユーザー間の情報交換が盛んに行われていることから、製品への理解が深まり、支持を集めています。

グラフィックボードなど、インターネットを通じて入手できるリファレンスドライバが日本語対応している製品も多く、ユーザーの知識次第で十分に対応可能です。しかし、商品スペックの記載相違などが発生し、問題となるケースも見られます。

トレードマークは「薄笑いを浮かべた黒サングラス男」で、ブランド発足時の開発スタッフがモデルとされています。

宣伝はほとんど行わず、パソコンショップの新製品情報やニュースサイトに依存していますが、大胆なPRイベントを突発的に開催することもあります。過去には、Windows Media Player7用スキンデータを収めたフロッピーディスクを配布したり、ウイルス感染事件の際には看護婦の扮装をした社員がウイルス対策ソフトを配布したりしました。

代表的な製品には、NAS構築キット「玄箱」などがあります。また、ローカライズを省略し、大量一括調達で価格を抑えたパーツは、ホワイトボックスパソコンを組み立て販売するショップや直販メーカーに広く卸されています。

2019年4月からは、「玄人が厳選した安心のPCパーツブランド」への変革を目指し、メールサポートを開始しました。

商品カテゴリ

玄人志向の製品は、シリーズによってサポート内容が異なります。主なシリーズは以下の通りです。

NEXTシリーズ：日本語マニュアルが付属する入門者向け
STANDARDシリーズ：コストパフォーマンス重視の標準的なシリーズ
PREMIUMシリーズ：付加価値や希少性を持つ製品
キワモノシリーズ：特殊な仕様の製品。初期不良時の交換のみ対応
* GALAKURO GAMING：GALAX社と共同開発したゲーミングブランド。3年保証付き

過去には、「セレクト」「アシスト」「ラクラク」「リユース」「スペシャル」「DuraPro」といったシリーズも存在しました。

バッファローとの関係

玄人志向は当初、製造・販売元を明らかにしないブランドでしたが、CFD販売を通じて販売されており、一部製品がメルコ製品のOEMであることなどから、ユーザー間では「メルコの別働組織ではないか」との指摘がありました。

2003年、メルコは公式に玄人志向との関係を認め、「マニア層に訴えるブランド・チャネル」と位置づけました。これは、かつて「MTC」ブランドでパーツ販売を行った際、初心者が多くサポート負荷が増大した反省から、玄人志向のスタンスが定着するまでメルコのイメージを排除する狙いがあったとされています。

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