玉ノ海梅吉

玉ノ海梅吉（たまのうみ うめきち）

玉ノ海梅吉は、1912年11月30日に長崎県東彼杵郡（現：長崎県大村市）で生まれた大相撲力士です。彼は二所ノ関部屋に所属し、本名は蔭平梅吉（かげひらうめきち）です。彼の最高位は東関脇であり、その技術と力量で知られています。

来歴

玉ノ海は、幼少期から近眼で家業の真珠養殖に従事できず、宮相撲に参加することで相撲を志しました。1930年に上京し、同郷の力士を頼って入門しようとしましたが、帰属していた部屋が巡業に出ているため、入門できませんでした。その最中に運良く玉錦三右エ門に見出され、二所ノ関部屋に入門しました。

四股名については、故郷の名産である真珠をイメージし、「海ノ玉」か「玉ノ海」のどちらかで迷った結果、後者に決めたと語っています。玉ノ海は筋肉質な体格と強靭な足腰、特に右腕の力で知られ、土俵上ではその力を発揮しました。1935年1月場所で新入幕を果たしました。

玉ノ海はその取り口から「右を差したら鬼」と称され、右を入れることで相手を押し込む技術が高く評価されていました。ただ、1937年5月場所以来の小結となるも、右腕の負傷によって取組を棄権することになり、平幕へと陥落しましたが、すぐに復帰し、金星を奪う活躍を見せました。

親方業との二足の草鞋

1938年12月、師匠である玉錦が急性盲腸炎で逝去したのを受けて、玉ノ海は年寄・二所ノ関を襲名しました。これ以降、彼は現役力士としての活動と親方業を両立させる多忙な日々を送ることになりました。しかし、1941年においては前頭6枚目で11勝4敗を上げ、小結に昇進。その後も好成績を残すも親方業との兼務から体調を崩し、昇進を逃すことが続きました。

玉ノ海は1944年に引退を決意しましたが、人気力士ということもあってなかなか引退させてもらえず、最終的には1945年11月場所をもって現役を引退し、親方として後進の指導に専念することとなりました。様々な力士を育てたものの、第二次世界大戦の影響で部屋の経営は厳しく、兵庫県の尼崎市を本拠地とすることに決め、部屋の経営改革に乗り出しました。

辛口解説者へ

引退後は放送界に転身し、相撲解説者として名を馳せました。彼の解説はユーモアに溢れており、多くの相撲ファンから愛されました。1970年代には解説者として数々の名言や名台詞を数多く残し、解説を通じて相撲界への貢献を続けました。

晩年には「相撲を忘れてのんびり暮らしたい」と表明し、1982年の場所を最後に解説者を勇退。その後は尼崎市で穏やかな日々を過ごしましたが、1988年に心不全で逝去しました。75歳でした。

人物

玉ノ海は協会在籍中は愛想が悪く知られ、直情的な部分もあったようですが、独自の経営理念に基づいた改革を行い、その後多くの弟子に影響を与えました。彼の取り組みは相撲界への深い考察を促し、今でも多くの力士に受け継がれています。

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