玉原ダム

玉原ダム（たんばらダム）

玉原ダムは、群馬県沼田市に位置する利根川水系の発知川に建設された、重要な水力発電ダムです。1973年に東京電力による建設が始まり、1981年に完成しました。このダムは、高さ116.0メートル、中央土質遮水壁型ロックフィルダムであり、主に揚水発電用として設計されています。

建設にあたっては1970年代のオイルショックの影響を受け、当時のエネルギー政策の変化がプロジェクトに影響を与えました。「火主水従」の考え方から水力発電の重要性が再評価され、ダムの建設が進みました。しかし、当初の名称「玉原」は、発電所が所在する水上町の読み方に基づいて「たまはら」とされていましたが、周辺地域のリゾート開発が進む中で「たんばら」の読みが広まり、2004年には東京電力が公式に「たんばら」に読みを変更しました。

玉原発電所

このダムが創り出す人工湖「玉原湖」は、揚水発電に利用されます。この発電所の認可出力は1,200,000kWと、利根川水系の水力発電所の中でも大規模な部類に入ります。しかし、このプロジェクトにはいくつかの難題がありました。特に、下池に藤原ダムの人造湖を利用する計画には、特定多目的ダムの役割が阻害されるとの理由から建設省の許可が得にくく、東京電力と通商産業省との間での交渉が必要でした。

また、発知川の環境保護に関しても問題が生じました。川でのマス養殖が盛んであり、ダム建設による濁水が養殖に影響を与える懸念から、漁協が反対運動を起こしました。この問題への対応として、発知川の水を発電に使用しない取り決めがなされ、ダム湖の水は全て利根川の水を利用することとなりました。この手法は後に南相木ダムの建設にも活用されました。

また、上流に広がる玉原湿原の高山植物や食虫植物への影響を考慮し、ダムの堤高は当初予定していた128メートルから116メートルに変更されています。

観光スポットとしての玉原ダム

玉原ダムは、観光地としてもさまざまな魅力を提供しています。周辺には玉原高原が広がり、夏はその涼しい環境を楽しむことができます。また、冬には近隣のたんばらスキーパークが開かれ、多くのスキーヤーやスノーボーダーが訪れます。ダム自体も開放されており、訪れる人々はその壮大な景観を楽しむことができます。さらに、ダムの左岸から右岸にかけて歩くこともでき、広範な散策路があります。

かつてはカラオケの映像ロケ地としても利用されたことがあり、地域の文化的な側面も垣間見ることができます。現在、ダム周辺には観光施設も整備されており、四季折々の自然を楽しむことができる点も大きな魅力です。

今後も玉原ダムは、発電所としての役割に加え、地域の貴重な観光資源としてその重要性を増していくでしょう。

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