玉島地区

倉敷市玉島地区の詳細解説

岡山県倉敷市玉島地区は、かつての玉島市の中心地域であり、玉島と阿賀崎という二つの主要なエリアで構成されています。この記事では、この地域をより深く理解するために、玉島、阿賀崎、そして両エリアにまたがる旧港町周辺の3つのエリアに分けて詳細に解説します。

玉島エリア

倉敷市玉島（玉島一〜三丁目を除く）を中心とするエリアは、かつての浅口郡玉島村に相当します。この地域は、江戸時代に干拓によって造成された玉島新田が基盤となっています。

歴史

玉島新田は、17世紀中頃に備中松山藩主・水谷勝隆によって開発が始まりました。この地は、古くは吉備の穴海の西端に位置し、干潟が広がる場所でした。大森次郎兵衛元直を登用し、1655年に着工、1659年には広大な玉島新田が完成しました。その後、新堤防が築かれ、現在の玉島南西部、玉島1-3丁目周辺の町割りが形成されました。

1668年には検地が行われ、東部を上成村、北部を爪崎村として分村、残りの地区が玉島村となりました。玉島という名前の由来は、干拓前の海域の古名「玉の浦」から、または阿弥陀島を玉島と通称していたことから、など諸説あります。

1671年には、玉島の西部に造成された阿賀崎新田と玉島を結ぶ堤防が築かれ、運河・高瀬通しが開削されました。これにより、玉島港が整備され、松山藩の藩港として、綿花やニシンカスなどの交易で繁栄し、現在の町並みの基礎が築かれました。玉島村はその後、松山藩と伊勢国亀山藩の相給地となりました。

明治時代には、周辺の村々との合併と分離を経て、1889年に新たな玉島村が誕生しました。1897年には阿賀崎村と合併し玉島町となり、その後、周辺の村々を編入し、1952年には市制を施行し玉島市となりました。しかし、1967年に倉敷市、児島市と合併し、現在の倉敷市に至ります。

現状

昭和以降、玉島港が水島港の一部となり、また山陽新幹線の開業や国道2号の開通などにより、町の賑わいは郊外へと移りました。しかし、玉島一〜三丁目周辺には、昔の港町の面影を残す町並みが残っており、岡山県指定町並保存地区となっています。

幹線道路沿いには商店や企業、住宅が立ち並び、それ以外は農地が広がっています。旧国道2号が地区南部を東西に貫通しています。

阿賀崎エリア

倉敷市阿賀崎（字西町・幸町周辺、および阿賀崎1-5丁目除く）を中心とするエリアは、かつての浅口郡阿賀崎村に相当します。この地域は、玉島の中部西よりに位置しています。

歴史

この地域は、かつては玉の浦や甕の海と呼ばれた海域で、柏島と呼ばれる島の北端部とその沖合にあたります。17世紀中頃、備中松山藩主・水谷勝宗が干拓を行い、広大な阿賀崎新田を築きました。1671年には新田検地が行われ、移住が始まりました。同時に堤防上には多くの問屋が誘致され、屋敷割も行われ街が形成されました。阿賀崎新田の完成により、東の玉島新田と西の道越新田が繋がり、現在の玉島平野部の大部分が完成しました。干拓時に築かれた堤防の一部を利用して、玉島港（阿賀崎港）が整備され、その周辺に港町が形成されました。

明治時代には、玉島村と合併し玉島町となり、昭和には玉島市となりました。1967年に倉敷市と合併し、現在の倉敷市に至ります。

現状

現在の阿賀崎東部では、官公庁、学校、商店、住宅が多く見られます。一方、その他の地域では田畑が広がっていますが、近年は住宅も増えています。里見川が地区内を流れ、国道2号と旧国道2号が通っています。

旧港町周辺エリア

玉島一〜三丁目、玉島中央町、阿賀崎一〜五丁目、および阿賀崎の字仲買町・西町・幸町周辺エリアは、かつての玉島港とその港町周辺にあたります。玉島と阿賀崎にまたがっています。

歴史

このエリアは、17世紀後半に玉島新田と阿賀崎新田が繋がることで整備された、玉島港の港町として栄えました。高瀬通しが開削され、港を中心に問屋街が形成されました。玉島港は、松山藩の藩港として、綿花などの交易で賑わいました。港町として発展したこの地には、現在も通町商店街などの前身となる町並みが残っています。

明治時代以降、港町としての機能は衰退しましたが、役所などの官公庁が集まる地方の中核市街地として発展しました。

現状

現在では、郊外の路面店などに客足を奪われるなどの課題がありますが、歴史的な景観が残る町並み保存地区や、昭和の高度成長期の雰囲気を残すレトロな街並みが注目を集めています。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』のロケ地にもなりました。

町並み保存地区

玉島阿賀崎（玉島港沿岸周辺）や玉島中央町一丁目・三丁目（一部）が町並み重点整備地区に、また、玉島阿賀崎（玉島港沿岸周辺）、玉島中央町一丁目・三丁目、玉島三丁目（一部除く）が周辺景観保存地区に指定されています。虫籠窓、格子、漆喰壁、なまこ壁などを持つ本瓦葺きの塗屋造りの商家や土蔵が多く残っており、羽黒山と一体となった歴史的な景観を形成しています。

その他の情報

人口・世帯数

平成24年9月末時点のデータでは、玉島地区の人口・世帯数が記録されています。

通信

玉島地区の電話番号は倉敷MAに属し、市外局番は086です。郵便番号は全域が713となります。

学区

小学校区は、玉島二・三丁目の一部が倉敷市立乙島小学校区、それ以外が倉敷市立玉島小学校区。中学校区は玉島が倉敷市立玉島東中学校区、阿賀崎が倉敷市立玉島西中学校区です。

主要な施設

玉島には、岡山県玉島警察署、日本年金機構倉敷西年金事務所、プライムホスピタル玉島、ハローズ新倉敷店などの施設があります。

阿賀崎には、産都鉄工センターなどがあります。

旧港町周辺には、倉敷市役所玉島支所、倉敷市玉島文化センター、玉島市民交流センター、玉島図書館、玉島歴史民俗海洋資料館、岡山県立玉島高等学校、玉島中央病院などがあります。

交通

国道2号、国道429号（旧国道2号）、県道35号、県道41号、県道47号、県道191号などが地区内を通っています。

名所・旧跡

玉島地区には、羽黒神社、歴史民俗海洋資料館、旧柚木家住宅（西爽亭）、住吉山公園などがあります。

河川

溜川、里見川、道口川、大谷川、埋川、高瀬通し川などが地区内を流れています。

山岳

住吉山があります。



この解説を通じて、倉敷市玉島地区の歴史、特徴、そして現代の姿をより深くご理解いただければ幸いです。

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