玉川堂

玉川堂：鎚起銅器の伝統を世界へ

株式会社玉川堂は、新潟県燕市に拠点を置く、日本の金属加工業者です。中でも、一枚の銅板を鎚で叩き起こして銅器を製作する「鎚起銅器」の技術を、200年近くにわたり継承している老舗企業として知られています。

独自の技術と世界への挑戦

玉川堂の特筆すべき点は、銅に多彩な着色を施す独自の技術を世界で唯一保有していることです。この技術を駆使し、世界最高品質の銅器を製造し、世界中に顧客を持っています。

その品質の高さは、シャンパンブランド「クリュッグ」とのコラボレーションにも繋がっています。クリュッグ6代目当主オリヴィエ・クリュッグと玉川堂7代目当主玉川基行が意気投合し、クリュッグオリジナルのボトルクーラーを共同開発。これは、仏日の高級レストランやバーで使用されるなど、日本の伝統工芸の老舗企業としては稀な、世界的なブランド認知度を誇る事例となっています。

沿革

玉川堂の歴史は、1816年（文化13年）に新潟県燕市で創業したことに始まります。その後、1961年（昭和36年）に株式会社玉川堂として法人化されました。2014年（平成26年）8月には、初の東京直営店「玉川堂青山店」を南青山にオープン。2016年（平成28年）には、創業200周年を迎えました。

歴代当主の功績

初代 玉川覚兵衛 (1799年〜1871年)：仙台の職人から鎚起銅器の製法を継承し、日常銅器の製造を開始。燕鎚起銅器の産業創始者として、その功績が称えられています。
2代 玉川覚次郎 (1829年〜1891年)：工芸品的要素を加え、1873年のウィーン万国[[博覧会]]に出品。燕鎚起銅器の名を世界に広めました。
3代 玉川覚平 (1853年〜1922年)：数々の博覧会で受賞。皇室への献上も行い、玉川堂製品が皇室の慶事に献上されるという習わしを築きました。
4代 玉川覚平 (1881年〜1947年)：東京美術学校卒業。製品の近代化、多様化を図り、美的向上に貢献しました。
5代 玉川覚平 (1901年〜1992年)：第二次世界大戦で壊滅状態となった鎚起銅器業界の復興に尽力。新潟県指定無形文化財、記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選定されました。
6代 玉川政男 (1938年〜)：職人育成に尽力し、伝統的工芸品の指定を受けました。実弟である玉川宣夫は、木目金技術の世界的第一人者として人間国宝に認定されています。
* 7代 玉川基行 (1970年〜)：200年に及ぶ父祖の業を継承し、地場産業の発展に尽力。玉川堂の店舗などが国の登録有形文化財に登録されました。

受賞歴と文化財

玉川堂は、経済産業省（旧通商産業省）から「伝統的工芸品」の指定を受けているほか、数々の皇室献上や万国博覧会での受賞歴があります。また、「燕の鎚起銅器の製作技術」は記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選択され、玉川宣夫は重要無形文化財保持者（人間国宝）に認定されています。玉川堂の店舗・土蔵・鍛金場・雁木は、国の登録有形文化財（建造物）にも登録されています。

現在の玉川堂

現在、玉川堂の製品は、本店（新潟県燕市）をはじめ、銀座店、新宿伊勢丹本店、日本橋三越本店などの百貨店で購入できます。オンラインストアも展開しており、全国各地からその美しい銅器を手に入れることが可能です。

「打つ。時を打つ。」というコーポレート・スローガンのもと、玉川堂は、伝統を守りながらも革新を続け、その技術と美意識を世界に発信し続けています。

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