玉沢

玉沢（たまさわ）

玉沢は、江戸時代後期に大奥で活躍した女性で、上臈御年寄という役職を務めました。生没年は不明です。江戸幕府10代将軍・徳川家治に仕えたとされていますが、主に11代将軍・徳川家斉の時代に影響力を持っていました。父は公卿の堤代長で、名は袖と伝えられています。

生涯

玉沢は、公卿・堤代長の娘として生まれました。堤家は代々続く公家の家柄で、玉沢はその七代目当主である堤代長の娘として育ちました。彼女には実妹がおり、その妹である春光院は薩摩藩主・島津重豪の側室となっています。

玉沢が大奥に入るきっかけとなったのは、妹の春光院が薩摩藩主・島津重豪の側室になったことと深く関わっています。島津重豪の継室である綾姫を選定する際、浄岸院と一橋家の推薦により、玉沢は大奥入りすることになりました。

大奥に入った玉沢は、11代将軍・徳川家斉の正室である広大院に仕えました。広大院は島津重豪の娘であり、玉沢にとっては縁のある人物でした。玉沢は、その才能と努力によって、大奥で上臈御年寄という高い地位にまで上り詰めます。

しかし、その権勢は長くは続きませんでした。寛政元年（1789年）7月14日、玉沢は公金不正融資事件に関与したとして、時の老中・松平定信によって失脚させられました。この事件は、大奥における権力闘争や不正の存在を浮き彫りにするものでした。玉沢の失脚は、大奥内における権力構造の変化を示す出来事として歴史に記録されています。

人物

玉沢は、大奥において高い地位まで上り詰めた女性として知られています。公卿の娘としての教養と、大奥での経験を通じて培われた政治力によって、その地位を確立しました。しかし、その一方で、不正に関与したとして失脚したことは、彼女の人生における大きな汚点として残りました。玉沢の生涯は、大奥という特殊な社会における女性の生き方と、権力闘争の厳しさを物語っています。

関連人物

高岳: 玉沢と同時期に大奥で権力を握っていた老女です。彼女もまた、大奥における権力闘争の中で重要な役割を果たしました。
田沼意次: 玉沢と同時代に老中を務めた人物です。彼の政治手腕や政策は、当時の社会に大きな影響を与えました。

参考文献

『江戸の女の底力』（氏家幹人、世界文化社、2004年）
『御一新とジェンダー』（関口すみ子、東京大学出版会、2005年）

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