玉虫左太夫

玉蟲左太夫

玉蟲左太夫（たまむし さだゆう）は、江戸時代後期に仙台藩に仕えた人物です。文政6年（1823年）に仙台藩士である玉蟲伸茂の末子として生まれ、幼名は勇八と名付けられました。諱は誼茂、字は子発です。

経歴

左太夫は、弘化3年（1846年）に江戸の昌平黌に入門し、林復斎に師事しました。その才能は早くに開花し、林復斎に代わって塾長を務めるほどでした。

安政4年（1857年）には、箱館奉行の堀利煕とともに蝦夷地を調査し、その成果を『入北記』としてまとめました。万延元年（1860年）には、『入北記』における詳細な記述や鋭い観察眼が評価され、万延元年遣米使節の記録係としてアメリカに派遣されました。

アメリカでは、ポーハタン号での生活やアメリカの風俗習慣などを詳細に記録し、それを『航米日録』として刊行しました。この『航米日録』は、当時のアメリカ社会を知る上で貴重な史料として高く評価されています。帰国後、左太夫は大番士となり、後に養賢堂の指南統取という要職を務めました。

慶応4年（1868年）に戊辰戦争が勃発すると、奥羽越列藩同盟の成立に尽力し、軍務局副頭取として会津藩などとの連携に奔走しました。しかし、明治2年（1869年）に仙台藩が降伏し、奥羽越列藩同盟は崩壊。玉蟲は寒風沢島に寄港していた榎本武揚率いる旧幕府軍艦隊に合流し蝦夷地へ逃れようとしましたが、捕らえられて投獄されてしまいます。約半年の獄中生活を送った後、切腹を命じられ、47歳という若さで生涯を閉じました。

墓所は仙台市若林区にある保春院にあります。子孫には、玉虫文一がいます。

主な著作

蝦夷紀行
航米日録 - 子孫が現代語訳した『仙台藩士幕末世界一周』が荒蝦夷から出版されています。
波山記事
遊武記
官武通紀
夷匪入港録

脚注

関連項目

外部リンク

* 玉虫左太夫 - キリンホールディングス

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