王勃

王勃（おう ぼつ）

王勃（650年? - 675年?）は、中国の唐代初期に活躍した詩人です。字は子安といい、楊炯・盧照鄰・駱賓王と共に「初唐の四傑」と称えられています。若くしてその才能を開花させ、中国文学史に名を残しました。

生涯

王勃は絳州竜門県（現在の山西省運城市河津市）で生まれました。彼の家系は学問に深く関わっており、祖父の王通は隋末に高名な儒学者として知られ、祖父の弟である王績もまた詩人として名を馳せました。

幼い頃から神童として知られた王勃は、664年に朝散郎に任じられ、その後、高宗の子である沛王李賢の侍読として重用されました。しかし、諸王の闘鶏を批判する文章「檄英王鶏文」を著したことが高宗の怒りを買い、出仕を差し止められて剣南に左遷されることとなりました。

その後、虢州（現在の河南省三門峡市）の参軍となりますが、罪を犯した官奴を匿ったことが発覚し、免職処分を受けました。さらに、この事件に連座して交趾の令に左遷された父の王福畤を訪ねる途中、南海を航行中に船から転落し、溺死するという悲劇的な最期を遂げました。享年20代前半という若さでした。

作品

王勃の作品には、南朝の遺風を残しながらも、盛唐の詩を予感させるような、新鮮で自由な発想が見られます。特に有名なのは、交趾へ向かう途上に南昌都督が滕王閣で開いた宴会で即興で作ったとされる「滕王閣序」です。この作品は、七言古詩であり、彼の才能を余すところなく発揮した絶唱として、今日に至るまで多くの人々に愛されています。

著作としては、『王子安集』16巻が現存しています。また、民国時代の羅振玉が編集した『王子安集佚文』1巻や、日本に伝わる佚文として、正倉院に『王勃集残』2巻が所蔵されています。

家族

祖父: 王通
大伯父: 王度
大叔父: 王凝、王績、王竫
父: 王福畤
伯父: 王福郊
兄: 王勔、王勮
弟: 王助、王劼、王勧

評価

王勃は、短い生涯にもかかわらず、中国文学史に大きな足跡を残しました。彼の詩は、清新で力強く、感情豊かであり、多くの人々に感動を与え続けています。「滕王閣序」をはじめとする彼の作品は、後世の詩人たちに大きな影響を与え、中国詩の発展に貢献しました。若くして亡くなった彼の才能を惜しむ声は、今もなお絶えません。

伝記資料

『旧唐書』巻190 列伝第140上 文苑上
『新唐書』巻201 列伝第126 文芸上

外部リンク

Wikisource:滕王閣序
太原道：王勃
王勃集（二卷）
* 中学文网中网：王勃

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