盧照鄰

盧照鄰（ろ しょうりん、637年? - 689年）は、中国の唐代初期に活躍した詩人であり、王勃、楊炯、駱賓王と共に「初唐の四傑」と称されています。字（あざな）は升之（しょうし）。彼の生涯は必ずしも平坦ではなく、その詩には厭世的な感情や悲しみが色濃く反映されています。

生涯

盧照鄰は范陽郡涿県（現在の河北省涿州市）の出身です。幼少の頃から学問に励み、曹憲や王義方といった学者に師事して、経史や小学（文字学）を学びました。若くして詩文の才能を発揮し、その力量は高く評価されていました。

彼は初め、鄧王府に仕え、文書処理係である典籤（てんせん）という役職に就きました。鄧王（唐の高祖の子である李元裕）は彼の才能を高く評価し、重用しました。しかし、その後、新都県尉（しんとけんい）という地方官に転じますが、病に倒れ、職を辞することになります。病状が悪化した彼は、陽翟具茨山（ようできぐじさん、現在の河南省許昌市禹州市）の山麓に移り住み、療養に専念しましたが、病状は回復せず、ついには潁河（えいが）に身を投げて自らの命を絶ちました。

作品の特徴

盧照鄰の詩は、その生涯を反映して、厭世的で悲しみや痛みを訴えるものが多いのが特徴です。社会の矛盾や人生の儚さ、自身の不遇などを themes とし、繊細な筆致で表現しました。彼の代表作として知られる「長安古意（ちょうあんこい）」は、唐の都・長安の繁栄と、その裏に潜む虚しさや儚さを詠んだもので、多くの人々に愛誦されています。この詩は『唐詩選』にも収録されており、彼の作品の中でも特に有名です。

著書

盧照鄰の著書としては、『盧升之集（ろしょうししゅう）』7巻と『幽憂子（ゆうゆうし）』3巻が残されています。『盧升之集』は彼の詩文を集めたものであり、『幽憂子』は彼の思想や心情を綴ったものと考えられています。これらの著書は、彼の文学的な業績を heute に伝える貴重な資料となっています。

盧照鄰は、その短い生涯の中で、多くの苦難を経験しましたが、その中で培われた豊かな感性と卓越した詩才によって、後世に多大な影響を与えました。彼の作品は、唐詩の中でも特異な位置を占めており、多くの人々に読み継がれています。

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