王国宝

王国宝（おう こくほう）は、東晋時代の武将であり、太原郡晋陽県を本貫とする太原王氏の出身です。王坦之の三男として生まれ、謝安の娘婿となりました。

王国宝は、品行に問題があったためか、司馬道子とは気が合う間柄でした。しかし、二人は孝武帝の寵愛を争ううちに次第に対立を深め、ついには司馬道子から剣を投げつけられるほど憎しみ合うようになりました。孝武帝が崩御し、司馬道子が政権を握ると、王国宝は態度を一変させ、司馬道子に媚びへつらい、以前の関係を修復して腹心となりました。そして、司馬道子の側近として専権を振るうようになったのです。

王国宝は、兵権を掌握しようと目論み、同族でありながら北府軍の総帥であった王恭を解任しようと画策しました。しかし、この動きに激怒した王恭は、西府軍元帥の殷仲堪と結託し、隆安元年（397年）に司馬道子の側近である王国宝を討つことを名目に挙兵しました。

司馬道子は王恭らの挙兵に驚き、事態を収拾するために王恭の要求を呑み、王国宝は罪状を暴かれて斬殺されることとなりました。彼の死は、東晋の政治腐敗と権力闘争の激しさを物語る出来事として歴史に刻まれています。

王国宝の生涯は、司馬道子との関係、王恭との対立を通じて、東晋王朝の内部における権力争いが激化していく様子を浮き彫りにしています。彼の行動は、当時の政治状況を反映しており、その末路は、権力闘争の厳しさを如実に示しています。

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