王妃 (白雪姫)

白雪姫の継母：嫉妬と呪いの物語

グリム童話『白雪姫』に登場する王妃は、物語の主要な敵役として、白雪姫の美しさへの嫉妬から、彼女を幾度となく殺害しようと試みる冷酷な女性として描かれています。初版では白雪姫の実母でしたが、後の版では継母という設定に変更されました。彼女の行動の原動力となるのは、魔法の鏡による「世界で一番美しいのは誰か」という問いかけへの答えです。鏡からの返答によって、自らの美しさへの執着が強まり、白雪姫への憎悪へと変化していくのです。

ディズニーにおける王妃像

ディズニー映画『白雪姫』（1937年）では、この王妃はディズニー・ヴィランズの一員として、より際立った個性と、強力な魔法の力を持ち、より悪辣な存在として描かれています。黒いマントに身を包み、大きな金色の王冠を戴いた豪華な衣装は、彼女の威厳と同時に、内面にある闇を象徴しているかのようです。

ディズニー版の王妃は、魔法の鏡に頼るだけでなく、占星術、黒魔術、錬金術、魔女術など、多岐にわたる魔法の知識と技術を駆使します。自身の地下牢に魔法の道具や魔導書を保管しており、白雪姫を排除するために、様々な魔法の薬や策略を編み出します。

狩人に白雪姫を殺害するよう命令しますが、狩人の良心によって失敗に終わります。その後、魔法の薬で老婆に変装し、毒リンゴを使って白雪姫を殺害しようと試みます。しかし、小鳥の知らせにより小人たちに発見され、窮地に陥ると、巨石を落として反撃を試みますが、落雷により崖が崩落し、転落死するという結末を迎えます。

多様な解釈と表現

ディズニー以外の『白雪姫』作品においても、王妃は様々な解釈で表現されています。例えば、『ディセンダント』では、イヴィという娘を持つ母親として登場し、白雪姫との関係性や、その娘の出自などは不明な点が残されています。 また、それぞれの作品で、王妃には固有名が設定されている場合もあります。例えば、『白雪姫の伝説』ではレディ・クリスタル、『スノーホワイト（1997年）』ではクラウディア、『スノーホワイト（2012年）』ではラヴェンナなど、作品ごとに異なる個性を持つ王妃が描かれています。

王妃を演じた俳優陣

アニメ映画においては、ルシール・ラ・バーン、スーザン・ブレイクスリーなどが王妃の声を担当し、日本語吹き替えでは北林谷栄、里見京子、京田尚子など、多くの著名な声優陣が王妃の声を演じています。実写映画においては、キャシー・ナジミーや、ガル・ガドットなどが王妃を演じており、それぞれ異なる解釈によって王妃像を表現しています。

まとめ

グリム童話からディズニー映画、そしてその他の派生作品まで、王妃は様々な形で表現され、それぞれの作品において、その個性と物語における役割は大きく異なります。しかし、彼女の行動の根底にあるのは、美しさへの執着と、それを脅かす存在への嫉妬であり、その普遍的なテーマが、多くの観客の心を掴み続けていると言えるでしょう。 彼女を演じる俳優陣も、それぞれに異なる才能と解釈で、この複雑なキャラクター像に命を吹き込んでいます。

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