王子町 (神戸市)

神戸市灘区王子町：歴史と文化が息づく街

神戸市灘区に位置する王子町は、1933年（昭和8年）に、それまで菟原郡都賀荘（尼崎領）原田村字王子免と西灘村原田字王子免の一部を統合して誕生しました。地名に含まれる「免」は、寺社領であり年貢免除地であったことを示す、古くからの行政単位です。

王子町の周囲は、東側を西郷川が流れ、北から天城通、福住通、中原通、南側には城内通、原田通が隣接し、西側には中央区の上筒井通、野崎通と接しています。町域は一丁目から三丁目まで分かれています。2020年（令和2年）の国勢調査によると、世帯数は242世帯、人口は335人（男性145人、女性190人）と、静かで落ち着いた雰囲気の地域です。郵便番号は657-0838です。

王子町の歴史は古く、現在の町域にはかつて王子神社があり、その祭神である若一王子にちなみ「王子免」と呼ばれていました。「宮の後」という旧小字名も残されています。この神社は、1950年（昭和25年）に開催された日本貿易産業博覧会を機に、現在の原田通へと移転しました。

明治時代には、1889年（明治22年）に原田の森を切り開いた場所に関西学院大学が創立されました。1929年（昭和4年）に西宮市に移転するまで、王子町は学生街としての活気ある雰囲気を帯びていたと伝えられています。

現在、王子町には王子公園、神戸市立王子動物園、王子陸上競技場といった、地域住民や観光客に親しまれる施設が集中しています。また、阪急電鉄神戸線の王子公園駅も町内にあり、交通アクセスも良好です。

王子町は、歴史的な地名に由来する落ち着いた雰囲気と、公園や動物園といった魅力的な施設が調和した、住みやすく、訪れやすい地域となっています。古くからの歴史と現代の生活が共存する、神戸市灘区を代表する町と言えるでしょう。

地理的な位置関係:

東：西郷川を挟んで天城通、福住通、中原通
南：城内通、原田通
西：中央区の上筒井通、野崎通

主な施設:

王子公園
神戸市立王子動物園
王子陸上競技場
阪急電鉄神戸線 王子公園駅

歴史的背景:

「王子免」：王子神社の祭神、若一王子に由来。
「免」：租税免除地を示す、古い行政単位。
関西学院大学（旧キャンパス）：原田の森を切り開いて設立、後に西宮市に移転。
王子神社：日本貿易産業博覧会後に原田通へ移転。

参考文献:

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年。ISBN 978-4-343-00437-6
* 灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年

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