上筒井通

神戸市中央区上筒井通：歴史と人々の営み

上筒井通は、兵庫県神戸市中央区に位置する地域です。一丁目から七丁目までが正式な町名となっており、郵便番号は651-0061です。かつては葺合区に属していましたが、現在は中央区の一部として、静かで落ち着いた住宅街として知られています。

地理と近隣

上筒井通は、旧・葺合区の北東部に位置し、旧・筒井村の上筒井村にあたる地域です。東側は灘区の王子町、南側は中央区の坂口通、西側は熊内町、北側は野崎通と隣接しています。周囲には、商業施設や公共施設も点在しており、生活に便利な環境が整っています。

歴史の変遷

上筒井通の歴史は古く、大正5年（1916年）に神戸市葺合町の一部として成立しました。昭和6年（1931年）に葺合区となり、昭和55年（1980年）には葺合区と生田区の合併により中央区に編入されました。町丁目は当初一丁目から七丁目でしたが、その後八丁目が新設された時期もありました。現在の七丁目体制になったのは昭和49年（1974年）です。

大正時代には、大正8年（1919年）の市電開通、大正9年（1920年）の阪神急行電鉄開通をきっかけに、周辺地域は急速に宅地化が進みました。これらの交通網の発達によって、上筒井通の居住人口も増加していったと考えられます。大正15年（1926年）には、葺合町の一部を編入して八丁目が新設されています。

昭和時代には、昭和5年（1930年）に神戸女子高等技芸学園（現在の塩原学園）が四丁目に移転するなど、教育施設の進出も見られました。しかし、昭和15年（1940年）には阪急上筒井線が廃止され、上筒井駅も廃駅となりました。昭和47年（1972年）には野崎通の一部が編入され、昭和49年（1974年）には一部が熊内町となり、再び七丁目までとなりました。これらの編入や変更は、都市開発や行政区域の再編によるものでした。

人口推移と地域社会

上筒井通の人口は、時代とともに変遷を遂げてきました。平成17年（2005年）の国勢調査によると、世帯数は953世帯、人口は2,021人でした。昭和63年（1988年）には世帯数1,067世帯、人口2,609人、昭和35年（1950年）には世帯数916世帯、人口3,296人と、戦後高度経済成長期には人口増加が見られました。一方、大正9年（1920年）には世帯数456世帯、人口2,318人と、現在とは大きく異なる状況でした。この人口変動は、社会経済情勢の変化や都市計画の影響を受けていると考えられます。

施設と地域環境

上筒井通には、様々な施設が立地しています。角川日本地名大辞典（1988年）によると、一丁目には神戸YMCA、三丁目には王子湯、四丁目には塩原幼稚園、塩原学園和洋裁専門学校、立正佼成会神戸教会、上筒井小公園、五丁目には日本基督教団神戸東部教会、神戸上筒井郵便局、六丁目には神戸逓信病院などがあったと記されています。これらの施設は、地域住民の生活を支える重要な拠点となっています。

ゆかりの人物

地理学者で神戸高商教授を務めた石橋五郎氏は、かつて上筒井、山村善三郎邸内に居住していたことが知られています。

参考文献

『神戸高等商業学校同窓会会員録 大正3年11月30日調』神戸高等商業学校同窓会、1914年
神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
* 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三 編『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』角川書店、1988年


上筒井通は、歴史的変遷をたどりながら、現在も神戸市の中心部として、人々の生活の場として重要な役割を担っています。これからも、地域住民の生活を支える拠点として発展していくことが期待されます。

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