王子製紙苫小牧硬式野球部

北海道苫小牧市を本拠地とし、日本野球連盟に加盟していた社会人野球の企業チーム、王子製紙苫小牧硬式野球部は、約半世紀にわたる歩みを経て、2000年に解散しました。地域に根差したチームとして、北海道の社会人野球界において重要な足跡を残しました。

チームの創設と名称の変遷

チームの歴史は1950年に始まります。当時の苫小牧製紙が「苫小牧製紙硬式野球部」として活動を開始したのが創部の契機です。創設から2年後の1952年6月、母体企業の社名が変更されたことに伴い、チーム名も「王子製紙苫小牧硬式野球部」と改められました。

チームは実力をつけ、日本の社会人野球における主要な全国大会である都市対抗野球大会と社会人野球日本選手権大会への出場を経験します。都市対抗野球には1959年の第33回大会で初めて出場。社会人野球日本選手権大会には、1982年の第9回大会で初出場を果たしました。

その後もチーム名称は変更されます。1993年10月、親会社が「新王子製紙」となったことで、チーム名は「新王子製紙苫小牧硬式野球部」となりました。さらに1996年10月には、母体の社名が再び「王子製紙」に戻ったため、チーム名も再び「王子製紙苫小牧硬式野球部」へと改称されています。

全国大会での実績

王子製紙苫小牧は、特に都市対抗野球大会において存在感を示しました。通算11回出場した都市対抗野球で、チームは1987年の第58回大会で全国の舞台での初勝利を飾り、そのままの勢いで快進撃を続け、ベスト8まで進出する成績を残しました。これはチームにとって、主要な全国大会における最高の成績です。

社会人野球日本選手権大会にも通算9回出場しており、全国レベルでの経験を積んでいます。また、主要な地方大会においても輝かしい実績を残しています。JABA北海道大会では1981年、1994年、1997年、1999年と4度の優勝を達成しました。さらに、JABA東北大会でも1984年に一度、優勝旗を手にしています。これらの実績は、チームが北海道内だけでなく、全国的にも高いレベルにあったことを証明しています。

チームの終焉とその後

王子製紙苫小牧硬式野球部は、かつて「北海道5強」と呼ばれた社会人野球チームの中で、最後まで企業チームとしての活動を継続しました。しかし、企業の事業再編や経営合理化の流れの中で、コスト削減と野球部全体の強化を目的として、愛知県の王子製紙春日井硬式野球部（現在の王子硬式野球部）へ統合されることが1999年に決定されました。

そして、2000年。チームは第71回都市対抗野球大会への出場をもって、その長い歴史に幕を閉じ、解散しました。解散時の部員24名のうち、11名が統合先の王子製紙春日井へ、1名がJR北海道の野球部へと移籍し、競技生活を続けました。

チームは解散しましたが、苫小牧における社会人野球の灯は消えませんでした。残った部員や、長年にわたりチームを支え続けた後援会関係者の尽力により、解散と同じ2000年にクラブチーム「オール苫小牧」が結成され、地域における野球文化は引き継がれています。

主な出身プロ野球選手

王子製紙苫小牧硬式野球部からは、プロ野球界に進んだ選手も複数輩出されています。

高沢秀昭（内野手）：1979年のドラフト会議で2位指名を受け、ロッテオリオンズに入団しました。
中嶋治彦（投手）：1988年のドラフト会議で4位指名を受け、中日ドラゴンズに入団しました。
* 鈴木貴志（投手）：チーム解散後に王子製紙春日井へ移籍。その後、2002年のドラフト会議で5位指名を受け、千葉ロッテマリーンズに入団しました。

これらの選手たちは、社会人野球の厳しい環境で磨いた技術と精神力を活かし、プロの舞台でも活躍を見せました。

王子製紙苫小牧硬式野球部は、北海道苫小牧市の地域社会と共に歩み、多くの野球ファンに感動を与えたチームとして、その功績は今もなお語り継がれています。

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