王将 (戯曲)

戯曲『王将』

『王将』（おうしょう）は、作家北條秀司によって創作された戯曲であり、日本の演劇界において特に重要な作品として位置づけられています。この作品は、将棋棋士坂田三吉の波乱に満ちた人生を三部構成で描いており、舞台化、映画化、テレビドラマ化など、多くの形態で展開されてきました。

構成概要

『王将』の初演は1947年6月4日、有楽座にて行われました。この戯曲は明治39年から大正10年にかけての坂田三吉と関根金次郎との初対戦から始まり、坂田の妻である小春の死までの出来事を描いた第一部、次いで坂田が名人となるまでの物語を綴った第二部、そして坂田三吉の死を迎えるまでを描いた第三部から構成されています。これらの各部は、時代背景や主要登場人物を巧みに設定し、観客を惹きつける力を持っています。

主要キャラクター

作品には、坂田三吉をはじめ、妻の小春や長女の玉江、友人の新吉や眼科医の菊岡博士が登場します。特に、坂田三吉の孤独と決意が描かれた物語展開は、登場人物の感情の変化を通して深く掘り下げられています。また、出演者には辰巳柳太郎をはじめとして、緒形拳や植木等、福田転球らと、有名な俳優たちが名を連ねており、作品の幅広い受容を反映するものとなっています。

映画化とテレビドラマ

『王将』は多くの映画化がなされ、特に1948年の阪東妻三郎主演作や、1955年の辰巳柳太郎主演作が有名です。さらには、1962年および1963年には三國連太郎が主演し、1973年には勝新太郎により映画化されています。その後も、テレビドラマ化が行われ、1956年から1980年まで、さまざまなキャストが坂田三吉を演じることで、新しい視点を観客に提供しました。

舞台パフォーマンス

毎回の公演では、戯曲の演出を担当した北條秀司の手腕が光り、観客に感動を与え続けています。特に、1950年の京都南座で初演された第三部は、坂田三吉の実人生とは異なる内容を含み、作者の創作的こだわりが垣間見えます。全体を通して、舞台芸術としての質の高さが評価され、北條秀司は1951年に毎日演劇賞を受賞しました。

書籍と文楽の形式

また、戯曲は数回にわたって書籍化され、1952年には『王将 全編』、1953年には春陽文庫から、1955年には角川文庫からそれぞれ出版されています。さらに、この作品は文楽の人形芝居としても取り上げられるなど、広い範囲でのアートフォームに影響を及ぼしてきました。

『王将』は、将棋界を舞台にした熱い物語と、登場キャラクターたちのドラマをご理解いただける名作として、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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